【文豪ストレイドッグス】太宰治に貢ぎたい

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『どういうおつもりですか？』




任務での意図的な情報の隔離はこのさいどうでも良い。
状況によって、そうせざる負えないのは理解している。

それが、この組織のトップなる首領の意思ならば尚更の事。


私が憤慨しているのは夢野久作を野放しにしてしまっているということ。

『夢野久作の異能力は極めて危険です。敵だけではなく、味方も…この街も危険に晒されるかもしれない』


なんの監視もなくあの子を放っておくなんて危険過ぎる。

あの子自身を憐れむ気持ちはある。

異能力によって人生を狂わされた哀れな子供。




「何だか、つい先日もこんな話をした気がするね」



太宰君の事だったかな？と笑う首領にグッと眉間にシワがよった。

この男は、本当に人の神経を逆なでするのが得意だ。



『…はぐらかさないで貰えますか？』


「つれないなぁ、…君の言いたいことは分かるよ」



やれやれと言わんばかりに肩を竦ませた首領はピシリ、と指を立てた。


「あの子の異能は危険だ。然し、私が、それを最適解と見なした」


ーーーならば、君のすることはなんだい？



『…通常の職務に戻ります』


「うんうん！それが良い！」


首領の決定は、組織に属する人間全ての方針決定だ。

私には逆らう権利はないし、するつもりもない。


命、大事。



私の返答に満足そうに笑みを携える首領にため息をつく。



「A君、暫く君は執務室に篭っていなさい」


『あー…そうですね、外は出歩きません』



治君に会っても、まともに話すことすら出来ず今回の件で私は外に出るのは極めて危険になった。


「何せ君、あの子に恨まれてるからねぇうっかり会ったら大変だ」


かつて、治君と共にＱを座敷牢に閉じ込めた私はあの子から酷く嫌われている。

昔、時折座敷牢をヒョコリと覗きに行けば、罵詈雑言の嵐だ。
正直、治君が行った時より酷かった。
結構仲良くしてたと思っていたから中々にショックで落ち込んでしまったのは是非もなし。


『憂鬱です』



「まあ、頑張りたまえよ。そうだ、甘い物でも差し入れに行こうか？」




『お断りします！！』




治君は甘いもの好きだけど私はそうでも無いの知ってるでしょう！


「ちょっとした冗談だよ、さあ行ってきなさい」



『失礼します！』



クスクス、とエリス嬢の笑い声を背に私は部屋を後にした。

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