【文豪ストレイドッグス】太宰治に貢ぎたい

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私は自身の執務室で上げられた始末書を読んでいた。

芥川は現在意識不明で提出は出来ないため、保留だが樋口さんにはきっちり提出して貰った。


『今日辺りで芥川は攫われるかな』


彼奴に対する怨みつらみは多い。
昏睡状態の重傷と知れば、即座に動く輩は多いだろう。
まあ、助けないけど。


再び樋口さんの文面を見下ろした。
文章の所々に芥川を庇護する箇所が多く存在する。
反応からして、秘めた想いを芥川に向けているのだろうから屹度彼女は動くだろうなぁと予測した。



『好きな人を肯定する気持ちもわかるけど、相手があの芥川じゃあね』



どれ程人々が芥川を肯定しようが、アレは治君に認めてもらわなければ意味が無いと思っている。

助けは不要と拒み、1人で全てを熟せる事こそ認めてもらう最善策だと本気で思っている内は本当の意味で認められることは無いだろう。


そんな彼に私は高笑いで「ヴァカめ！！」と罵ってやりたい。





再提出の判子をポンッと押し、私は次の仕事に取り掛かった。








◇◆◇






結果だけを言えば、昨夜芥川は樋口さんと黒蜥蜴の活躍により奪還された。


おめでとう、芥川。傷が完治したら始末書を提出してね。3枚追加で。

横に立つ人物など目に入らないように真顔でパソコンに向かう。




「Aくん！一生のお願い！このとぉーり！！」



私の隣で手を合わせる白衣を着た首領の姿など、私は見えていない。

何時もの黒衣とは正反対の白を纏い、無蔵髭は生やした首領は私の仕事の量を知って言っているのだろうか。


「エリスちゃんが、Aくんも一緒じゃなくちゃ美飾服を買いに行ってくれないって言うんだ！今日は、限定デザインもあるんだよ！？」


知ったことか。

ジットリと半目で首領を見た。

そもそも、エリス嬢の我儘くらい何時もの様にケェキで釣ればいいだろう。

何か意図があるんだろうけど、私を巻き込まないでいただきたい。


何より、


『此処が私の執務室だから良いものの、この組織のトップが簡単に頭を下げないでくれます？』



部下である私に頭を下げるとは何事か。
ポートマフィアの敷居が疑われたらどうする。



「ならば、一緒に行ってくれるね！？」




『……』






「よぅし、今度休暇を取らせよう！君の好きな時一日だけ！」





『…、いいでしょう』





一日休暇。


常日頃勤務に急かされる社畜には、余りにも甘美な響きであった。

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