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私の治君に居て欲しい場所の条件はただ一つだ。
治君が心から安心し、身を預けられる誰かがいる事。
残念ながら、この条件を満たせたのは過去にも今にもただ一人しか居ない。
織田作之助。
治君が友と認め、とあるバーにてよく集まった3人のうちの1人である。
首領の策略によりその尊き命を落とした彼の傍に居る時治君はよく笑った。
私はそんな治君を見るのが好きで、織田さんとのツーショット写真は特別多い。
其れらの殆どが盗撮であるが。
まあ、そんなこと言い出したら私の撮った写真の殆ど盗撮だ。
警察沙汰?何を言うのか、私はポートマフィアである。
ふと、
廊下を歩いていると目の前から細身の男と、幼い少女が歩いてくる。
コツリ、と私は足を止めた。
『あらあら、これはこれは』
「…貴様は」
芥川龍之介。
私がポートマフィアで嫌いランキング上位に常にランクインする男。
そんな彼の後ろには着物を着た愛らしい少女が佇んでいる。
『首領に感化でもされて少女趣味に走ったの…?』
「否!勘違いも甚だしい。貴様ならば鏡花の話は伝わっている筈」
勿論知っている。
『紅葉幹部と同種の異能力を持つ子でしょう。部下から情報は聞いてます』
うちの部下は報連相がしっかりしているからね!其方の樋口くんとは違うんだよ。
「ならばその変な解釈をするのはよせ」
『少し揶揄っただけだよ』
「相変わらずいけ好かない奴だ」
それだけ言い、芥川は去ろうとする。
足早に此処から去ろうとする彼に嗚呼、そうだ、と呼び止めた。
『これは先輩としてのアドバイス。独断行動が過ぎるよ芥川、無駄に派手な事ばかりやって治君に認められると思ってると思ってるならそんな馬鹿な考え方は改めようね』
「…何だと」
ギリッ、と此方を見る目が鋭くなる。
「貴様に言われる筋合いはない!」
『あっそ』
矢張り無駄か。
立ち去っていく芥川の背を見て溜息を零した。
不意に、泉鏡花が此方をじっと見ているのに気付く。
絶望の色が濃く映る瞳と、視線が交じった。
然し、それも一瞬で彼女は芥川の後をゆっくりとついて行った。
『あの子…紅葉幹部のお気に入りだっけ』
そんな事をポツリと呟いて私は書類を片付けに執務室へ急いだ。
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ユウリ(プロフ) - ねころさん» 個人的に私もそこ大好きなので(自画自賛)同じ人が居て嬉しいです〜(^^)祝日の間にあと一、二話更新出来たらなぁと思います (2019年9月16日 7時) (レス) id: 7b452ad7ad (このIDを非表示/違反報告)
ユウリ(プロフ) - 神皇音雅樂さん» 指摘ありがとうございます!深夜テンションで書いていたので全く読み返した時と分かりませんでした……ストーキング夢主をこれからもどうぞよろしくお願いします(( (2019年9月16日 7時) (レス) id: 7b452ad7ad (このIDを非表示/違反報告)
神皇音雅樂(プロフ) - 夢主の太宰への一途さが可愛すぎます。これからも更新頑張ってください。あと、32話の"人の話"が"人な話"に、"首領の話"が"首領の話し"になっています。訂正お願いします。 (2019年9月16日 7時) (レス) id: d0313e3af1 (このIDを非表示/違反報告)
ねころ(プロフ) - 潔い…しゅき…のところが好きすぎて見返しては頬が緩むのを感じます。更新楽しみにさせて頂いております。 (2019年9月16日 0時) (レス) id: ef39eb690c (このIDを非表示/違反報告)
ユウリ(プロフ) - コメントありがとうございます!応援して頂けると本当に励みになりますm(_ _)m (2019年9月10日 18時) (レス) id: 7b452ad7ad (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ユウリ | 作成日時:2019年8月12日 13時