あなたは魔法使い (ページ2)

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聞かれちゃまずい人ページ2

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「さっき、誰のせいだって言ったの？」

優しく響く声が妙に恐怖に感じる。

この体勢と、この空気から抜け出したい思いから、

『あの人たち、です。』

人差し指を笑顔を振り向きながら歩く、王子達に向ける。

「ふっ、」

鼻で笑う声が聞こえ、首に回された腕がやっと解けた。

反射的に体を声の主に向けた。

『あ… 増田貴久。』

貴久「呼び捨て？」

優しい声とは裏腹に目つきは鋭い。

私は、聞かれちゃまずい人に聞かれていたことにようやく気付いた。

貴久「あんた、名前は？」

鋭い目つきのまま私を見つめる。

ここで名前を教えたら、ダメだ。

そう思い、体を固くした。

貴久「高橋A、か。」

『へっ！？』

驚いて、増田貴久の方に顔をやれば、

視線の先は、私の机の上の教科書。

『やっちゃったー』

つい、心の声が漏れてしまった。

貴久「心の声がダダ漏れだな。」

そう言った後に、一歩づつ私にしか付いてくる。

もちろん私は、一歩づつ後ろに下がる。

でも、窓のすぐそばにいた私は、背中に窓が触れる。

目の前には、可愛らしいお顔。

とんっと顔の両脇には、増田貴久の手。

『何、』

私がそう言えば、

ニヤッと微笑む増田貴久。

チュ、

唇に柔らかい感触と可愛らしいリップ音。

貴久「じゃあな、A。」

そう言い、颯爽と教室を出て行った。

『キス、され、た…？』

私の周りは、石鹸の香りでいっぱいだった。

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