30呪目:守れなかった者* ページ35
時は少し遡り... 零side
あいつ一人であの根暗野郎のところに行ったけど本当に大丈夫なのか...?
べつに疑ってるわけじゃねぇけどな、千景はそれなりに腕もたつし、口も回る。なにかあっても大抵のことは一人でどうにかできる
...そう、一人でな
あいつが俺の執事じゃなかったら、きっと明るい未来が待ってたんだろう...日の光に嫌われた俺たちの一族とともに、闇に堕ちていく未来なんて存在しないくらいの、すばらしいものが
そんな千景が奇病なんてものを患ったと知ったとき、俺は密かに喜んでたんだ。なんでもできるあいつが「誰かに頼らないとどうにもならない」状況になったことに
患ったばかりのときは俺も石吐病のことについてなにも知らなかったからあちこちで調べたり、治療法を探したりした
石吐病は奇病の中でもわりかし有名だったからすぐに進行速度も、治し方も、わかった。だけど伝えなかった、知らない振りをした
病気が治ったら、俺に縛れる理由がなくなるから。あいつは「そんなことない」って言うだろうけど、あいつが俺から離れていくのは想像するのすらキツイ...
零「ん...?あれは...!」
あの根暗野郎、なんであんなところにいるんだ...!?千景との話が終わったんたなら帰っててもおかしくないだろ!
零「まさか...!」
どうしようもなく嫌な予感に、俺は千景に教えられた場所へと走った
ーーーーー
校舎裏...
『ゴホッゲホッゴホッガハッ!ゴフッゴホッゲホッ!』
聞こえてくる咳の音...これまで聞いたことのない大きさと量に走る速度を上げて音の発信源に辿り着いて見たのは
大量に吐き出された宝石の中心で、未だに宝石を吐き続ける千景の姿だった
明らかに顔色が悪いのが、素人目にもわかってヤバいと思うと同時に思ってしまった
まるでステンドグラスの上にいるみたいで、とてもキレイ...なんて
零「千景!!!」
そんなこと絶対に思っちゃいけねぇのに
とにかく保健室に運ぶために駆け寄りながら後悔していた
あれだけ縛っておいて、守れなかったことに
48人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ぬん(プロフ) - 世界観がとても好きです。更新楽しみにしています! (2019年1月6日 23時) (レス) id: bc5dc7d709 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ