大正妖怪浪漫道 (ページ6)

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４歩目:検体１１２の詳細ページ6

時雨の家... 時雨side

ｶﾞﾗｯ
『ただいま～...と、あいつら今日はいないのか』

うちには二人の妖怪が居候している

一人は本来住んでる場所に帰りたくないから...なんでも兄貴がうるさいらしい。俺そいつと一応知りあいなんだが

もう一人は...なんだろうな、「放っておけないのよ！」とか言われてそれで居座られてる

「Zzz...」

『...報告は明日でいいか』

とりあえず自分の布団を敷いてつれて帰ってきた子どもを寝かせ、観察する

灰色のくせ毛に、さっき見たキレイな青色の瞳。左肩付近に鱗のような青い模様、両目の下辺りにも青い筋のような模様があった

多分この子は蛇だ。まだ力も使いこなせていない幼い蛇神の子ども

『そういえば資料もって帰ってたな...』

元帥に渡すものとは別にしていた書類の束を手に取り、ペラペラとめくっていく

『...検体１１２、ねぇ』

それがこの子が研究所で呼ばれていた名前らしい...いや、名前じゃなくて記号か

とある場所にある泉の浮島にいたところを研究所のクズ共がつれて帰ってきたらしい

...そこが本来この子のいた場所だろうな、物心つく前につれ出されたのか...なんとか返してやりたいが場所まで記載されてねぇし

そして、そこからずっと実験の毎日だったそうだ。妖怪はわりと不死身だ。「～神」と呼ばれる連中はその倍は頑丈だ

銃、槍、小刀、刀、鞭、鎌、鎖、爆弾、斧、鉄球、弓、針、大槌、大砲、棒、鉈、毒、薬、炎、水、雷、氷、光線...あらゆる武器で攻撃され

撃つ、射る、突く、貫く、打つ、切る、燃やす、押す、轢く、殴る、絞める、縛る、漬ける、沈める、凍らす...あらゆる攻撃方法をされても

この子は死ななかった...否、死ねなかった

本当に死なれたら困るからだろう。脳は危害を加えられていなかった

その年数は...十八年。約六千五百七十四日分だ

ということはこの子は十八ってことか...？あいつと同い年か...

必要最低限の栄養すら与えられなかったからあんなに小さいんだろうな...話せないってことは精神的成長も遅い

.....こういう人間の面を見ると、本当に殺意しかわかねぇな

『とりあえず...報告行って、必要なもの買って...あぁでもその前に』

眠るその子の頭を撫でながらポツリと言う

『まずは、名前を考えないとな』