大正妖怪浪漫道 (ページ17)

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１４歩目:人間の友人ページ17

次の日... 時雨side

スタッ...

『はぁ～...ここもひさしぶりだな...』

多くの人が行き来する町並みを見据え、大きく息を吸えば潮のにおいが胸いっぱいに広がった

ここは流星海に面する港町、ちなみに流星海の名前の由来は夜になるとよく流星が見れるからだそうだ

帝都から南西に、わりと距離のある貿易の盛んなこの町の海に零と同じく俺の知人が住んでいる

泉「にぃに...あれ、なに...？」

『ん？あぁあのばかでかい水たまりはな、海って言うんだよ。あの先はな？いろんな場所に繋がってるんだ』

泉「...すごい」

『おっ、わかるか』

泉は俺に抱かれたままあちこちをキョロキョロ見ている...そういやまだ帝都の散歩すらしてなかった.....住んでる町の案内とかの方がさきだよな...

「おぉ！もしかして時雨か！？」

『！あ、千秋！』

白い簡素なシャツに黒いズボン。昔からの知り合いがいつものように笑っていた

千「ひさしぶりだなぁ！元気そうでよかった！」

こいつは守沢千秋、帝都の軍に所属する軍人の一人であり第三部隊の隊長でもある男だ。

『お前もな、今日は非番か？』

千「あぁ！きちんと休むときに休まねば、いざというときに人々を守れないからな！」

『相変わらずだなお前は...』

昔からなんというか...こいつには「英雄志向」というものがあった

曰く「英雄なら誰でも救えるだろう？」という考えが基本でこうらしいが...わりと危ない志向だと思う

千「む？その子は蛇神の子か？」

『あぁ、いろいろあってな。いま一緒に暮らしてる。ほら泉、自己紹介』

泉「.....瀬名、泉...」ﾑｽｰｯ

...なんか怒ってる？

千「俺は軍人の守沢千秋だ！ちなみに俺は視えるからなにかあったら俺を頼ってくれていいぞ！」

泉「？？？」

『あぁ...自分から姿を見せようとしなければ妖怪は人間の目には視えない。妖怪の子どもは例外だがな、だけどごく稀にそれが無条件に視える目を持った人間がいる。この千秋みたいにな』

...だから、第三部隊は特殊なんだけどな

千「そういうことだ！」

泉「...ふぅん」

泉...もしかして千秋のこときらいか？

『そういえば千秋、お前なにしにここに来たんだ？ここ帝都からわりと距離があるだろ』

千「ちょっと友人に会いに来たんだ。昨日と合わせて三日間非番だからな！歩いてきたんだ！」

『うわぁ体力バカ...』

帰りは送ってやろう...

「あれ？時雨くんともりっち？」