act18.逸脱 ページ18
疾かった。圧倒的に。視界から消えたレンをイーリアが見付けるよりも先に、彼はレンの重い蹴りを喰らうコトに為った。
「ぐ……ッ!?」
「うふふ、えへへ……そぉれっ!」
何処と無く幼く聴こえるレンの口調。イーリアがその声にユリカと似通った物を感じた瞬間、レンは数発蹴りを入れ彼の竜化した巨体は横薙ぎに吹っ飛ばされた。
「空で六竜を…蹴り落とすなんて…」
異常な事態を目の当たりにし思わず呟くミオ。彼女の目の前で感情を暴走為せたレンの姿が変化して行く。
「あはは…ユ・リ・カ…ユ・リ・カ…♪隠れんぼしてるのかな?僕が俺が私が見付けてあげないと!貴女の君のユリカの居ない世界は僕には暗すぎて暗過ぎるから…えへへへ♪」
「レン…さん…?」
絶句為る現在のイーリアと驚愕為るミオの前で先程までレン・リヴィエール"だった"精神の暴走体はドス黒く悍ましい竜に姿を変えた。
「ユーリカ、ユリカ♪私の物…僕の物だよ…ふふふッははア、あハハ、イひヒ……」
やがて両脚を失い、2本の尾と四枚の羽を生やした異形な姿へと変貌を遂げた黒龍は凄まじいスピードで飛翔為ると決して視界に捉えられ無い速さで何処かへと飛び去って行った。
「イーリアさん…今のは……」
「あぁ。アレが世界の人々の知るレン・リヴィエールだ。」
「……教えて下さい。レンさんとユリカさんの間に、何があったのか。本当なら教会が崩れた時…」
「死んでいた。そうだろ?」
「……はい。」
「彼奴らに何が起こったのか、何故レンの魔力がアレ程絶大な物に為ったのか。僕も詳しくは分からない。ただ僕はあの時、確かに確認したんだ。ユリカの魔力が消え、レンの魔力が上昇したのを…」
「じゃぁユリカさんは…」
「あぁ。死んだよ。」
「でも何で!?ユリカさんが死んだのなら六竜の魔力のバランスが崩れて世界が崩壊する筈じゃ…」
「昔話には大抵尾鰭が付けられてるものさ。其れに、その話が事実だったとして。世界の魔力の比は全く変わって居ない…レンの魔力の高まりと、何か関係が有るのかもな。」
「じゃあ今六竜は…」
「事実上は五竜というコトだ。まぁ…こっから先は大体予想通りだ。」
そう言うとイーリアは再び指を鳴らした。
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ゆみる(プロフ) - 応援有難うございます、感謝感謝です♪此れからも頑張って行きたいと思っています、宜しくお願いします! (2016年3月8日 15時) (レス) id: 0e088220ea (このIDを非表示/違反報告)
露音 - こんにちは!とっても面白いと思います!魔法系大好きです!応援してます! (2016年3月8日 14時) (レス) id: abb7292bcd (このIDを非表示/違反報告)
ゆみる(プロフ) - 有難う御座います!満足して頂ける様な作品が書ける様、日々努力して行こうと思って居ます…;^_^A (2016年2月27日 21時) (レス) id: 0e088220ea (このIDを非表示/違反報告)
りあ(プロフ) - スピード感がありとても面白かったです。展開を楽しみにしていますね! (2016年2月27日 21時) (レス) id: 992ea4a363 (このIDを非表示/違反報告)
ゆみる(プロフ) - コメント有難う御座います、これからも更新頑張ります_♪ (2016年2月27日 14時) (レス) id: 0e088220ea (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆみる | 作成日時:2016年2月27日 14時