黙認したので ページ34
その日のモストロラウンジはサバナクロー寮生で埋め尽くされていた。
問題を起こしまくる困った彼らにスタッフは大混乱で、その場を捌ききれていなかった。
また、主要メンバーのリーチ兄弟が揃っていないことも原因の一つだった。
レオナがラギーを待ってる間、入口から新しい客が案内もしていないのに、ぞろぞろと入ってきた。
腕には赤紫と薄紫色のリボンをつけており、各々知り合いの隣の席へ腰かけた。
スタッフは助っ人かと思ったが、やることはサバナクロー寮生と全くもって同じであり、騒々しさが2倍に増えた。
低いヒールの音を鳴らしながら、最後に現れたのはその寮生を率いる
左手には暗闇でも光を失わないフックがつけられている。
「レオナ、面白そうなことをしてるじゃないか。」
Aは、レオナの横に腰掛けた。
レオナの鋭い眼が益々鋭くなり、警戒していることが丸わかりだった。
しかし、全くその様子を気にせずに話しかけてくるAは、どこか余裕そうにも見えた。
秘密の取引部屋から出てきたらラギーを横目で見ると、会話を中断し颯爽と立ち去った。
Aはレオナの背中が出口に向かうまで横目で見ていた。
モストロラウンジの外には、ラギーと数多の契約書を持ったレオナがいた。
全て砂に変えようとした瞬間、一目散に飛んできたアズールが横入りする。
しばらく弄び、希望をちらつかせていたがエンディングは既に決まっていた。
タチの悪いやり方によって、己の全てが砂になってしまったアズールは、ヒステリックをおこした。
目の前にいる人全員、自分よりも有能に見えてしまい、その能力を全て欲しがった。
あの人なら全てくれるかもしれない、と呟いた言葉にレオナは反応した。
誰しも自分の能力など与えたくは無いはずだが…
アズールは胸ポケットから金色に輝く年代物の羅針盤を取り出し、その蓋を開けた。
幸い、その人物はモストロラウンジの中にいたため、時間をかけずともやってきた。
「おい、蛸。なんの用…」
アズール「くれよ…!!お前のその能力を僕にくれよぉっ!!」
いきなりそんなことを言われ、はいと返事する人がいるのだろうか。
余りにもおかしいことが起こっていると、Aは思考回路を回す。
なぜ、このようなことになったのか。
ラギーが落ち着かせようと気の利く言葉をかけていたが、反論としてアズールが嘆いていた。
そのやり取りを聞き、Aは仮説をひとつ立てたのだった。
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作者名:あかまる | 作成日時:2022年5月21日 17時