身勝手な会議 ページ18
ﾚｵﾅ｢俺はな、
"お前は絶対に一番になれない"ってハナから決めつけられることがこの世で一番嫌いなんだよ。｣
不穏になる空気と珍しく長考するAに、一同は静まり返った。
Aはいきなり立つと、机を片手で叩いた。
反射神経によって、何人かはビクッと肩を跳ねさせた。
｢いいだろう。マレウスが殿堂入りしないのならば、俺様から辞退させてもらう。
学園長、オープニングセレモニーにエキシビションマッチの予定を組み込んでおいてくれ。｣
唐突な申し出に有無を言わせない威圧感。
その時、その場にいる誰もがAは本気で寮生のことを考えて打開策を編み出していたのだと察した。
クロウリー学園長はたじたじしながらも、了解の意を伝えた。
ｱｽﾞｰﾙ｢ちょっと、待ってください！
そんな勝手に抜けないでください！
ジリーロジャー寮の試合は実に見栄えがあるため、収入源になるのに! ｣
ﾘﾄﾞﾙ｢ルール違反ではないが、自分勝手な案は認めない！｣
飛び交う反感は先程まで座っていた椅子を机にぶつけて歪ませることによって、強制的に黙らせた。
歪んだ椅子を魔法によって元通りにすると、Aは鏡の間を背に歩き出した。
3年生の寮長たちはもちろん、威勢の良かった2先生たちでさえ、彼を止めなかった。
ｸﾛｳﾘｰ｢こほん。では、マレウス・ドラコニアくんの殿堂入り選手の件は無かったことに、ジリーロジャー寮は本戦に参加はしないもののオープニングセレモニーのエキシビションマッチをするということでいいですね？｣
ｲﾃﾞｱ｢はぁ…、我らイグニハイド寮も辞退したいもんですわ…。｣
ｱｽﾞｰﾙ｢…あの人の身勝手さは本当に困ったものだ。｣
ｳﾞｨﾙ｢ところで、またマレウスを呼び忘れてない？｣
鏡舎から生徒たちの間をすり抜け、寮に一直線へ帰ろうとするAは、自責の念に駆られていた。
というのも、先程の寮長会議において、非常に自分勝手な発言をしてしまったと悔やんでいたのだ。
マジフトを楽しみにしてくれている寮生の皆に、なんて告げればいいのか、いやそもそも納得してくれないだろうというネガティブな思考が彼の脳内を支配する。
あの場において正解は、レオナの策に乗るべきだった…。
今更、このような思いやりは誰も望んでいない。
その矛盾こそが彼自身のSOSだと気付く人は何人
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作者名：あかまる | 作成日時：2022年5月21日 17時
