俺は二度とごめんや ページ32
kn｢これ、打撃用の軟膏やろ？
うちの軍でもよく使われとる｣
なぜか刺激臭がするが、痣などにはよく効く。
しんぺい神が作ったwrwrd国お墨付きの軟膏で、内ゲバをして怪我を負うメンバーはよくお世話になる。
だからコネシマはこの丸いケースにも中身もよく知っていたのだ。
｢ええ、それはwrwrd国から輸入したものです｣
kn｢そーゆーことやない。
お前、今怪我してるんやろ｣
使われた形跡があった、ということはつまりそーゆー事だ。
外交官なんて戦闘とかけ離れた人が剣の打撲を受けるのだろうか？
だが、コネシマは彼の背中の傷を見てしまった。
インナーで隠しきれていない傷、何度も叩かれなければつかないような痛々しい腫れを。
kn｢それ、鞭打ちの跡やろ｣
｢…そうです。
はぁ……最近は体罰なんて見直されているようですが、我が軍では未だに伝統として引き継がれていますので｣
観念したように彼は認めた。
それでも、その傷を見せびらかすような真似はしないで、サッと軍服を羽織った。
kn｢辛いやろな…。
うちの軍に来たらどうや？うちはそーゆーの無いし｣
コネシマは同情により、その言葉をかけた。
決して引き抜きたいという下心があった訳では無い。
それを率直に感じとったのか彼は少し悩みながら、でもやはり答えは決まっているのか首を横に振った。
｢大丈夫です、慣れたものなので｣
kn｢嘘や、痛いって感覚が無くなるほど打たれて、最初は当たり前やった涙も麻痺して出なくなる…。
あんなこと…、俺は二度とごめんや｣
｢まさか…｣
そこまでハッキリと描写できるというのは、ただの同情ではないのだ。
コネシマはそれを一度経験したことがある。
お情けで、可哀想の三文字で終わらせるような簡単な話では無いことを知っていた。
もちろん、彼の言う慣れるということも良い事では無いことを知っていた。
ただ突き放せばいいと思っていた彼には大きな誤算だっただろう。
経験したことある人を納得させるのはなかなかに辛い。
どんな嘘をついても、意味が無いのだ。
｢……では、約束しましょう。
私は我が国から体罰を無くすことに尽力致します。
ですので、心配は無用です。今まで叩かれた回数を数えるよりも、これからの回数の方が少ないですから｣
kn｢そか｣
誠実に話し合えたのはwrwrd国以外の人でいただろうか？
コネシマは久々に清々しい気分になっていた。
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作者名：あかまる | 作成日時：2023年11月21日 18時
