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「本当に、良かった」

それは、間違いなく彼の声だった。この香りも、この温かさも、この腕も

「ちょっと……明日来いって送っただろうが」

「…え…あぁ、見ていなかった」

傑の一部となってしまった首元のソレも全て。

硝子に話しかけられて、傑が身体の向きをかえた時に見えてしまった見たくないもの。

ああ、半年経っても、まだ付けてたのそれ。

そうだろうな、半年経ったのだから外してくれているかもしれないなんて思ったが、彼は彼女を忘れていない。

息がしづらい。体も固まって、上手く動けない。まるで、誰かに叱られてるような気分だ。

「調子は悪くないかい?ずっと寝たきりだったからね、頭痛とかは…」

「それさっき私が聞いた」

傑は私と正面で向き合うような形になり、私を見ている。しかし、私は彼の顔を見ることが出来ず、彼の洋服を見るだけ。

「でも、本当に良かったよ。気が気でなくて心臓が持たなかった」

私は何も喋れなかった。喋ろうとも思ったのかもしれないが、声を出すことが出来なかった。

何度も口を開けたが、口から出るのは空気だけ。縛られているように、自由を奪われているように。

「無理に話そうとしなくていい。君が話したくなった時でいいよ、私はいつまでも待つさ」

そんな私を見兼ねた彼は私に甘い声でそう言った。

「ただ……

もし君が自分の声を誰かと似ていると思ってその声を殺しているのなら、君の声は君自身のものだし、誰と似ているかなんて私は考えてもいないし、私は君自身を愛しているよ。

それだけは忘れないでほしいな」

これが彼からの、初めての“愛している”だった。

硝子が状況を把握していないようにも見えたが、他所でやれクソ野郎と傑を引っ張り出し、部屋から追い出そうとする。

「あぁ、それと

私は別れるつもりなんて微塵もないよ。起きたのなら尚更。

もし、私のことを海の底へ沈めたいくらい嫌いで、本気で別れたいと思っているのなら、ゆっくり時間をかけて必ず落とす。それくらい君が好きだよ。

じゃあ、また明日来るね。」

硝子も、夜遅いからという理由で彼に続いて部屋を出た。

パタンと扉が閉まると、再び部屋に静寂が起こる。

彼から初めての愛しているは、嬉しかったのかと自分に聞いてみるがわからなかった。どうせ、全て嘘だろう。私が半年間の眠りから覚めたから感極まっただけ。

もし、あの2つのリングが見えなかったら、嘘でも馬鹿な女のように信じられたのに。

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rix(プロフ) - 尊さん» お待たせ致しました!只今公開致しました〜!!犬小屋から出てきてくださ〜〜い!!!!お家に帰りますよー!! (2021年3月27日 9時) (レス) id: c4228ae6c4 (このIDを非表示/違反報告)
- rixさん» なぬ、神様の作品なら絶対読みます!犬小屋で地団駄踏んで待ってます! (2021年3月24日 17時) (レス) id: b48a344f5f (このIDを非表示/違反報告)
rix(プロフ) - 尊さん» コメントありがとうございます!わー!そう言っていただけると嬉しいです(;;)休日に新作出すと思うので是非そちらもお読みいただけると嬉しいです笑 (2021年3月24日 17時) (レス) id: c4228ae6c4 (このIDを非表示/違反報告)
- めちゃくちゃ感動しました!あなたは神作の神様だったですね、一生崇拝します (2021年3月24日 14時) (レス) id: b48a344f5f (このIDを非表示/違反報告)
rix(プロフ) - ひなたさん» コメントありがとうございます!よかったです!!笑自信結構なかったのでそう言っていただけると嬉しいです!! (2021年3月22日 13時) (レス) id: c4228ae6c4 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:rix @元荼毘 | 作成日時:2021年2月28日 14時

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