彼が昔の婚約者を忘れられない話 【呪術廻戦】

1 ページ2

私は非術師の家系で育った。

恵まれた環境……いや、恵まれた環境の基準がわからないので、ありのままを記そうと思う。


家族構成は、父と母と私の3人。

記憶の中の父と母は仲が悪く、私が小学生の頃には離婚した。

しばらく私と母は共に過ごしたが、私の呪霊が見える奇妙な体質と高校生になる私を見兼ねて、なにかの伝手で知り得たのだろう呪術高専へ私を売った。

おそらく、大した額は貰っていないんじゃないかな。私そんな才能ないし。

今母がどこへいるのかなんて知らない。

父親なんてもう10年は会っていないし、会ったとしても私が自分の娘だということに気づかないのではないだろうか。

そのまま私は高専へ売られたのだが、私の能力は戦闘向きではないがそこそこ使えるらしく、御三家の分家に引き取られた。どうやら偉いところに引き取られたらしい。二転三転へと人身売買が繰り出された。

私はこの時点で、呪術界は狂っていると分かっていたので何が起きてもおかしくはないと、その運命を何も疑うことなく受け入れた。

引き取られた先にあったのは農奴のような扱いであった。

いや、農奴というのは大袈裟かもしれない。ご飯は十分に頂けていたし、自室も与えられていた。

私の能力は簡単に言うと、自分や他人を強化する能力で、それがわかってから蹴れば岩さえも砕けるような力を手に入れていた。

その能力を良い事に、当主はこの能力を私に酷使させた。正直死ぬ一歩手前だったと思う。

そのため、皆に比べれば少々遅れて高専へ入学した。

やっと青春最高な高校生活を送れると思った矢先、第一印象は最悪であった。

自己紹介をした瞬間に、私を弱いだの雑魚だのと暴言を吐くサングラスをしたヤンキーがいたし、高校生だと言うのにタバコをスパスパ吸うその行動とは裏腹の可愛らしい女の子もいた。多分この子もヤンキー。

私の高校生活終わったなー、これ4年間も続くの？と涙が出るような思いをした時に出会ったのが夏油傑だった。

2→←.

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す