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何かに、蝕まれていくようだ。

あの時の記憶が、

天元様との記憶が、

私を苦しめていく。

この記憶が頭によぎる度、吐き出しそうなほどに苦しくなる。

こんなにも、こんなにも、

言葉にならないくらい、

彼を愛しているのに。

「どうして、私ばかり」

彼は、嘘をついた。

彼と2人だけであの部屋に入れるのは、私だけではなかった。

呆気ないこの一瞬が、私の心を深く抉る。


ああ、もう全てが憎い。

なぜ、私だけこうなのだろうか。

苦しいほど私は天元様と一緒にいたいのに、それができない。

私が何をしたというのだ。

私の何がいけなかったか。

考えれば考えるほど、自分の悪い所が些細なことでも思いつき、いっそう苦しくなった。


「A!」

炭治郎がいきなり大きな声で私を呼ぶので、肩がびくりと上がった。


「何度も呼んでいたんだ。」

どうやら私のことを何度も呼んでいたようだった。

「ごめん、ぼうとしていた。」

頭の中でギシリと詰まった考えが、音を遮っていた。

「なあ」

「うん」

「あの先生と関わるの、やめないか?」


それは、スラスラと炭治郎の口から出た言葉で、私の心を重くさせた。

炭治郎が、少し申し訳なさそうな顔をする。

おそらく、私に気をつかっているのだろう。


「Aの悲しい顔は、もう見たくない。

Aとあの先生に何があったのか俺はわからないが、

Aの悲しい匂いが、表情が、

俺は嫌いだ。」

「…うん」

炭治郎は、普段の下校している時に駄弁っているような声で話す。

「俺のためにも、

もうこれ以上、苦しまないでほしい」

「…うん」


私は、何も言えなかった。

自分の気持ちを言葉にすると、感情が高まって泣いてしまいそうだ。

「私は、大丈夫だよ。」

今に始まったことでは、ない。

「私なら、大丈夫。」

私は、

「私はこれ以上、何も望まないの。」

あなたのいない世界に、慣れてしまえばいい。

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rix(プロフ) - 月乃派さん» ないです! (2022年7月26日 6時) (レス) id: c4228ae6c4 (このIDを非表示/違反報告)
ゆず(プロフ) - 更新停止ですが、更新待ってます! (2022年1月18日 22時) (レス) @page25 id: 7dc128c7fe (このIDを非表示/違反報告)
月乃派 - 宇髄さんは記憶があるんですか (2022年1月2日 18時) (レス) @page25 id: 2fabf89436 (このIDを非表示/違反報告)
rix @元荼毘(プロフ) - しらとぅさん» 影山飛雄です! (2020年11月27日 18時) (レス) id: c4228ae6c4 (このIDを非表示/違反報告)
月華 - 更新停止残念です…復活するの楽しみに待ってます (2020年3月22日 2時) (レス) id: 05cb836c1e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:rix@荼毘 | 作成日時:2020年2月29日 11時

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