【wrwrd】拾う神有り (ページ31)

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日常 13 ページ31

Aside

意識が深い闇から浮き上がってくる感覚。目を開けると私が初めて目にした光景と同じ天井。外は暗い。近くに座っているグルッペンさんはこくりこくりと居眠りしている。

ずっとそばに居てくれたのかな？それよりあれからどれくらい経ったんだろう。

脇腹を触ると痛みはそれほど強くもなかった。きっとペ神さんが処置してくれたんだ。包帯ではなく大きめのガーゼで傷と外界を遮っている。

起こすのも悪いしもう一眠りしよう。次に目を開く時には明るくなっているでしょう。

「A、そろそろ起きてくれ。渡したいものがあるんだ。」

名前を呼ばれて目を覚ます。少し眩しそうに目を細めれば、そこに映るのは金と黒。

『渡したいものってなんですか？グルッペンさん。』

久しぶりに声を出すと少しだけ掠れていた。

「A！！本当によかった。もう目を覚まさないんじゃないかと……。」

『私が貴方をおいて逝くわけないでしょう。意地でも生き延びてやりますよ。』

『で、渡したいものとは一体なんでしょう？』

「あー…いざ本人を目の前にすると緊張するな。

ゴホン、えぇ…

この件を通してな、私はお前がいないと生きていけないことに気づいた。こんなふがいない私だが、ずっと隣に居て欲しい。結婚しよう。」

箱の中にはペンダントより少し深い色の赤を纏った指輪。
答えなんかとうの昔に決まっている。

『えぇ、私もグルッペンさんがいないと生きていけません。もう私を手放さないでくださいね。』

「ありがとう。」

私の左薬指にはまる。小さく輝く指輪はグルッペンさんの目の色そのもの。彼の色に染まっていく。

『綺麗…。グルッペンさんの目の色と同じですね。』

くるりと手のひらを返して指輪を見せる。

「あぁ。本当によく似合ってる。」

柔らかく身体を包み込まれる。
神様、こんな人に出会わせてくれてありがとう。