人 質 【2】

Ep.８７ ページ40

side Ogata





『───･･･んﾞ、』




側頭部に鈍い痛みを感じて、目を覚ます。




「･･･起きたか、」

『･･･不破くん、？
ッ、皆は！？』




勢いよく起き上がって頭が痛むけど、そんなことどうだっていい。

不破くんの肩を掴んで問いただすけど、目を逸らされて。


それだけで察してしまって、また涙が溢れてくる。



結局皆を助けられなかった。


“先生は殺してない” って信じたいのに、信じることが出来ない。



中尾くんも、瑠奈も美咲も瀬尾くんも西崎くんも里見くんも。

皆目の前にいたのに、届かなかった。




『ごめん･･･ッ、』




ごめん、ごめん、ごめん。


泣きじゃくって、うわごとのように謝り続ける。

不破くんの制服が皺になるくらい握り締めて、すがりつくように。



散々泣いて少し落ち着いてきた頃、不破くんに謝った。


聞けば、先生に気を失わされたあと、不破くんに渡されたそうで。

今までずっと、介抱してくれてたんだ。




『･･･ごめん、ありがと･･･』

「いいよこんくらい。
落ち着いたか？」

『･･･ちょっとだけ、』

「よかった。
もう少し寝てな」




時計を見ると、深夜1時過ぎ。


周りは皆、泣き疲れたり叫び疲れたのか眠っていて。




『･･･うん、そうする』




まだ混乱してるし、散々泣いて泣き疲れてるし
一旦寝て、落ち着いた方がいいと不破くんに言われて。



泣き疲れてるからか、泥のように眠った。





そのあとすぐに、誰かの声を聞いてさくらが目を覚ましたとも知らずに。





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