人 質 【2】

Ep.８２ ページ35

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「･･･なにこれ」

『お菓子。病院食ってあんまり美味しくないでしょ。
あ、でもバレたら怒られるから隠しといてね･･･？』




ふはは、と真壁くんが笑う。




「ありがとう。隠しとく」

『じゃあね、また来る。
本当に、ありがとね』

「･･･うん、俺こそ顔面に当てちゃってごめん」

『･･･許さん、』




うそうそ、と笑った。




「･･･あの、私からも。
景山さんとAを守ってくれて、ありがとう」

「･･･え、？」

「あ、いや･･･！
景山さんとAに悪い虫が寄り付かなくなったのは、真壁くんがフルボッコにされて警察沙汰になったからで･･･！
それはやっぱり君が真壁繋がりで真壁刀義並のファイターだったからで･･･！




フルボッコってあんた、なんてこと言うのよ･･･。




「これからも、景山さんをサポートしてあげてほしいなって･･･」

「サポートって･･･。こんな足で？」

「あぁ･･･。ッ、マネージャーとか･･･？」




確かに。それなら澪奈も心強いかもしれないね。




「･･･マネージャー？」

「･･･酷いこと言うんだな」

「酷い･･･？どこが！？
澪奈様を間近で観られるチャンスなんだよ！？
澪奈様の曲線美を至近距離で拝めるなんて、最ッ高だよ･･･？」




ごめん。本当にごめん真壁くん。


土下座する勢いで、口パクで謝り続けた。
真壁くんは苦笑いを浮かべてる。




「それに、真壁くんの知識や経験があれば、澪奈様にとっても鬼に金棒･･･！」




すん、と急に冷静を取り戻したさくらは、真壁くんに謝って病室を飛び出して行ってしまった。




『･･･本ッ当ごめんね真壁くん、悪い子じゃないからそれだけはわかってあげてほしいの』

「大丈夫だけど･･･、澪奈様って･･･」

『澪奈のファンなの。間取り持ってあげようか、って言ってるんだけど遠くから見てるだけで充分なんだって』




確かに、澪奈は綺麗だけど。

私も、さくらと澪奈が仲良くしてくれるなら嬉しいのにな。




『でも、マネージャーっていうの案外悪くないと思うな。
真壁くんがマネージャーなら、澪奈もすっごく心強いと思うの。
だから真壁くんが、澪奈を傍で支えてくれたら嬉しいな、って』

「な･･･ッ、」




いろんな意味で、と付け加えたらわずかに頬を染めた。




『気付いてたよ。
あ、絶対誰にも言わないから安心して。
じゃあね』




今度ばかりは、真壁くんに手を振って病室を出た。




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