人間以上太陽未満 ページ39
今日は新しく四人と話すことができた
正しくは三人と一匹、だけれど
おかしなこと言ってなかったかな、と部屋の鏡の前で慌てて思い返す
＿＿＿多分、大丈夫.....だと思う。
頬を両手で包みはぁと息を吐く
普段あまり人と話す機会がないから何を言えばいいのか分からなかったけれど、あちらから話題提供をしてくれて本当に助かった
＿＿＿まぁ私の事じゃなくて国の......お姉様の事だけど、さ
はぁぁと大きく息を吐く
お城にいた頃は召使いは恐れ多いです〜とか言って逃げていくし目上の方達＿＿機関の人は怖くて話しかけられないし女学校時代の友達はおほほしか言わない
変なやつとか思われてたら立ち直れない....
薄暗い部屋の中、ぼすっとベッドに飛び込み枕に顔を埋める
しばらく唸りながら頭をぐりぐり押し付け、また息を吐く
「......お姉さん、か」
少し開いた窓から吹く冷たい風に無意識に身を震わす
カーテンが靡いて月明かりが部屋の中を照らす
窓枠に手を置き身を乗り出して空を見上げるとそこには静かに輝く惑星が
ずっと見つめていたら目が乾いてしまってじわりと涙がでてくる
＿＿＿太陽は見続けていたら目が焼けてしまうから、ずっとは見ちゃいけないよ
＿＿＿私達を明るく照らしてくれるありがたい存在だから感謝だけは欠かしちゃあいけないよ
皆がそう言われて、素直に言いつけを守り、その話もまた受け継がれる
だから 、だからなんだよね？
誰も本当の私を見てはくれないのは
「......おねぇちゃん、わたし、嫌だよ....」
このまま王になれば、今度こそ、本当に誰も私自身の事を見なくなるでしょう？
ほんの少し、でただけの涙をきっかけにぼろぼろと涙がでてきて止められない
＿＿太陽を見つめ続けていたら、その強い光に目を焼かれ、黒い点が見えるようになる
＿＿＿その光は、いつまでも、いつまでも消えなくなってしまう
ほんとだね、消えないよ
貴方の好きな黒が、貴方が纏う黒が消えない
私にとっては貴方が太陽なのに、皆は貴方を月だと言い表す
そっと瞳を閉じて、それでも消えない彼女の姿
私があなたを好きで嫌いな理由は＿＿＿
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作者名：あしな | 作成日時：2020年5月5日 15時
