始まりの話 ページ33
元々男が政権を握る国だった
昔からどこの場所も、国も、男が優位だった
だから皆、今更それを聞くことはしなかった
何の権利を持って男どもが私達を良いように利用するのだろうか、と。
思っても言うことは無かった
単純な力の差で優劣を決めつけられた女性達
女子供はなんと使えないことかと嘲笑するくせに自らが面倒だと思った仕事は無理矢理にやらせてくる男達
それでも彼女達は反論しなかった
抵抗しなかった
すれば暴力で黙らせられるだけと知っているから
決してしなかった
しかしその腹の奥には確かに不満を募らせ怒りを宿していた
そんなある日、毎日男達に理由もなく使われ精神も肉体もボロボロに成り果てた女性が腹に溜め込んだ怒りを爆発させた
理不尽だ、といい女性達を集めた
濁った光のない瞳をした仲間に彼女は問いかけた
本当にこのままでいいのか、と
周囲を伺い、誰がどんな反応をするかを探り合う人々の中、一人の女性が手を挙げ発言する
そんな訳ないだろう、と
その言葉をきっかけに彼女達は反乱の準備を男達にバレてしまわないように静かに、しかし確実に進めていった
そして準備が完了した深夜、彼女達は男達が暮らす城へと街の全員で攻め込んだ
突然の反乱、予期せぬ出来事、不意をつかれた男達は初めこそ慌てたもののやはり強く、すぐに彼女達を追い返す
それもあっという間に
入念に準備をしたはずなのに負けてしまった
やはりこれが現実なのかと前よりも仕事やら何やらを詰め込まれたり、罰を受けたり
一度取り戻した光をまたも失った彼女達はもうこのまま死んでゆくのか、と諦めようとしている時
国を一人の女性が訪れた
彼女は真っ白な修道服を身にまとい
美しいプラチナブロンドの髪を風に靡かせ
幾重もの宙を閉じ込めたかのような碧の瞳をした、シスターだった
彼女は自身の名を『ルイーダ・クライシス』だと言い、柔らかく微笑んだ
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作者名：あしな | 作成日時：2020年5月5日 15時
