透明の茶 ページ32
カチャ、とティーカップが目の前に置かれ彼女が暖かな湯気のたちあがる紅茶を注ぐ
あ、紅茶だこれっていうのが匂いで分かるあたり庶民にあわせて初級編からにしてくれたのかもな、なんて密かに感動する
「簡単な紅茶しか用意出来なくてごめんなさい、それで、お話というのは一体？」
真っ白なテーブルクロスに真っ白なイス
背景は柔らかな風にゆらゆら揺れる木々の緑
彼女の色素の薄いふわふわな髪
よく見て見たら毛先の方が若干白くなっている
姉妹揃って髪の毛の色が途中で変わるんだな
ていうかどんだけ美形姉妹なんだよ改めて考えたら
例えるならアリシアさんは妖精って感じで、A先輩は天使っていうか女神さまみたいな感じで
近寄り難い、というか神秘的で近づいちゃ穢しちゃうんじゃないかって思う
「アリシアさんのお姉さん＿＿A先輩の事を聞きたくって」
彼女が持つティーカップは持ち上げられているが口に運ばれることはなく空中で止まっている
その顔は笑っている
「申し訳ないのですけれど、知りませんね。きっと貴方達の方が詳しいのではないかと」
口角を上げ、確かに笑っているはず、なのに
先程までのような自然な笑みではなく貼り付けられたような、そんな笑みを浮かべる彼女
その口から放たれる言葉もどこか突き放すようなトーン
こんな急にテンション下がるか？
なんか地雷でも踏んじゃったのかな
とにかく不機嫌なられちゃあこっちが辛い
話題を変えなくちゃ
「そっ、そうなんですね！えっとじゃあアリシアさんのお国の事とか！聞かせてもらえたり....？」
「あぁ、帝国の事ですか？それなら....まぁ」
ある程度は、と自分の国の筈なのに自信なさげに
眉を下げるアリシアさん
やっと表情が動いたところでほっとし、是非聞かせてください！と若干食い気味に答える
「じゃあ、まずは基礎知識として国の子供達が授業で必ず習う建国についての話をしましょう！」
パン、と顔の横で両手をあわせる彼女が嬉しそうに口を開いた
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作者名：あしな | 作成日時：2020年5月5日 15時
