嘘を固めて【ツイステ】 (ページ23)

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碧の声ページ23

「＿＿ぱ、＿＿せん、＿＿＿先輩！！」

耳が痛いからそんな至近距離で話しかけないでおくれと思いながらよいしょと体を起こせば辺りの景色はすっかり元通りの明るい光のさす海だった

耳が壊れてる間に終わってたのか、と思うのは上を向いてアズールの方を見る事を首痛くなるからという理由でやめたのである

お陰で肝心な所を見ていなかったのは悔しい

「良かった...先輩、聞こえてますよね...？」

『声は正常に聞き取れています』

ほぇぇ～と脱力する彼を慌てて支える

あれ、よく見たら皆いるじゃん場所は散り散りだけど

アズールは眠っているようだが＿＿＿

そういえばいつもより周りが静かだ....いや、この人達の事じゃなくて＿＿＿

そういえばアズールに魔法を取られてたんだっけ

確かめ程度に軽く風を手の中で起こす
うん、正常正常、とその風をぎゅっと握り潰す

じっと横でその光景を見ていたユウが躊躇いがちにその口をゆっくりと開く

「あの....先輩、のユニーク魔法って何か、聞いてもいいですか？」

そりゃ気になるよね
どうせここにはこの子しかいないし、いいかな

『簡単に言ってしまえば普通の人間では聞き取れないような音、声が聞こえるんです。風とか』

「風ってお喋りするんですか！？」

えぇまぁ、と軽く流しつつ立ち上がってアズールの元へと歩く

これ以上詮索されたくないし

いつまで寝てんだこの眼鏡、と頬を軽くつねってやるとゆっくりと目を開く

「....？うっ、うわぁ！」

人の顔を見るなり悲鳴とはどういう了見だこいつ
まるで死人でも見たかのような驚きっぷりである

『アズール、ユニーク魔法の影響はありませんか？どこか痛かったり』

「い、痛くないです」

少し怯えたような瞳をしているのはユニーク魔法がキツかったのだろうか

「あ、あの、僕、酷い事を言ってしまって...」

恐る恐る言ってくるから何かと思えばそんな事か
こいつもほんと臆病だな、と頬を少し緩ませながら頭を撫でる

「私、裏で言われるよりもはっきり言われる方が楽で好きなので、全然気にしてないですよ？」

ていうか裏で言われても聞こえるし、と呟くと彼はより一層怯えたように震えだす

そんなにトラウマになったのかな

うーむと悩んでいるとポケットから音がする

『あ、ちょっと電話がかかってきたのでここで失礼しますね』

「え」

じゃ、と手を振りその場を後にした私はその後の事など知らない

　