#177. 足。←10/20更新 ページ31
保健室の窓は開いていて、外から淡い日光と一緒に少し冷たい風が吹き込んで来ていた。
風が私の髪と、半分だけ閉められたベッドのカーテンをふわりと揺らす。
掛け布団の上に仰向けになってる、制服の足。
さっき窓から覗いた時は全く気が付かなかった。
どうして見逃してしまったんだろう。
鼓動のうるさい心臓を押さえて、そっと、その足に近付く。
「遅い」
カーテンの中に入ると、天井を見たまま寝転んでいた二宮先輩と目が合った。
やっ……と……見つけた……。
一瞬のうちに涙で真っ赤になった私の顔を見て、先輩がちょっと困ったような顔になって笑う。
「そんなに泣かれると、俺が泣けない」
「先輩はどうせ泣かないんでしょ……」
「人を鬼みたいに言うなや」
また涙が零れてきて、先輩に背を向けてベッドに腰掛けた。
たくさん使うだろうと予備に持ってきていたハンカチで必死に涙を拭う。でも、追い付かない。
「先輩……」
「んー？」
「ホントに卒業しちゃうんですか……？」
「まぁねぇ、卒業証書貰っちゃったしねぇ」
視界の端に映り込む、
枕元に無造作に置いてある黒い筒。
やだ。そんなの持ってる先輩、見たくない。
胸の造花も外してよ。卒業なんて言わないで。
ずっと……私の先輩でいてよ……。
「先輩……二宮先輩……」
「……」
「先輩と離れたくないよ……」
ハンカチをぱさりと落とした。
止まらない。
「なんで連絡くれなかったんですか……待ってたのに……合格したって先輩から聞きたかった、バレンタインだって」
あぁ、あぁ、私は何を言ってるんだろう。
恋人でもないのに。
私に連絡する義務なんてないのに。
「先輩の声聞きたかった、顔も見たかった」
また、風がカーテンを揺らした。
ハンカチと同じ色のカーテン。
2月の卒業式に、桜は咲いてない。
ずっと黙ってた二宮先輩が、のそっと起き上がる気配がした。
その、手が、両腕が
背を向けてるはずの私の視界に入って来る。
「……え……？」
自分の呟きが遠くに聞こえた。
気が付いたら私の身体は
二宮先輩の腕の中に、いた。
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琴子(プロフ) - めろん。さん» わぁーおかえりなさい、受験お疲れさまでした!!(遅いか！笑) ただいま絶賛続編書き書きしております、書きながら作者もニヤニヤしちゃう() 月日を経て段々デレデレしてきちゃう先輩の姿を早くお届けしたいな！ 嬉しいコメントありがとうございました(*.ﾟωﾟ) (2019年1月19日 23時) (
レス) id: 41dca15b9a (このIDを非表示/違反報告)
めろん。(プロフ) - 1年前受験生の時にずっと読まさせていただいてました。1年前ぶりに帰ってきてすぐに読んできました！少しずつ変わり始める二宮先輩の行動にニヤニヤが抑えきれませんでした。今頃どうしてるんでしょうか笑続編楽しみに待ってます！ (2019年1月19日 12時) (レス) id: 22a17272cb (このIDを非表示/違反報告)
琴子(プロフ) - 愛渚さん» わぁ…コメントありがとうございますーめちゃくちゃ嬉しいです( ；∀；)コメントに勇気いるの分かります！ でもいつでも大歓迎、わくわくしながら待っておりますので気軽に送って戴けたら嬉しいですー(*.ﾟωﾟ) 続編、一刻も早くお届けできるよう頑張りますっ！！ (2019年1月8日 10時) (レス) id: 41dca15b9a (このIDを非表示/違反報告)
愛渚(プロフ) - はじめまして。ずっとコメント書きたかったのに、恥ずかしくてなかなか書けませんでした。いつもキュンキュンしながら読ませていただいていました。続編、楽しみにしております！ (2019年1月8日 2時) (レス) id: 83e74fc252 (このIDを非表示/違反報告)
琴子(プロフ) - かりんさん» 終わってしまいました！！ 最後までお疲れ様です！！！ やーそこまで感情移入していただけて作者冥利に尽きる゜゜(´O｀)°゜ 最高な読者さんたちに支えていただいて完結することができました！ 沢山読んでいただいて、本当にありがとうございます！ (2018年11月5日 18時) (レス) id: 41dca15b9a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：琴子
| 作成日時：2018年9月8日 0時
