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#今。 ページ3
「Aー、夏だよ！」
「夏だねぇ……」
「夏休みだよ?!」
「夏休みだねぇ」
「だねぇ、じゃないよ！
夏休み、青春の代名詞でしょ?!
誰でもいいから私と付き合ってぇぇ……」
タンクトップを着た親友が、机にペッタリ貼り付く。
ついでに汗で濡れた前髪もオデコにペッタリ貼り付いていて、
見てるだけで暑苦しいから扇風機の『中』を『強』に変えた。
「あと一日で、高2の夏休み終わっちゃうよ‼
やだ！ こんな時にフリーなんて、やだぁ‼‼‼」
「ん？ サツキ、彼氏いなかったっけ？」
「いませんよー、フリーですよー！」
「え、塾のクラスメイトの仲田くんは……」
「あぁ、あんなの、とっくに別れた」
「あんたねぇ……この一年で、何人彼氏変わってんのよ！」
「だってぇー、どれもこれも大したヤツじゃないんだもん」
広げている宿題は、さっきから一問も進んでいない。
夏休み用のドリルのページの、端っこに描かれた向日葵が余計暑苦しくて……。
提出、明後日なんだけどな。
「Aはー？
ほら、あの……何だっけ」
「……まっちゃん？」
「そう！ それ。
まっちゃんはどうなったのー？」
「だからー、言ってんじゃん。
もう付き合ってないって」
「別れよっつったの？」
「ううん。自然消滅」
チリン、と風鈴が鳴った。
夏だけがあの頃から変わらない。
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作者名：琴子
| 作成日時：2016年8月20日 11時
