世間知らず×2の地方巡り

白熱 ページ32

ピカチュウとオオタチの拳が衝突する。

ぶつかり合っただけなのに衝撃波が発生して飛ばされそうになった。

でも、ほとんど意地でその場に立ち続ける。

ここまで楽しくなったんだ。

まだ終わらせない。

まだ、楽しみたい！

『がんばれオオタチ！』

「きゅうぅぅぅぅ！！！」

レッド「…ピカチュウ！」

「ぴぃ、かぁぁぁ！！！」

レッドの真紅の瞳はギラギラと輝いている。

前とは比べものにならないほど強い歓喜を浮かべている。

無邪気にバトルを楽しんでいる。

多分僕もそうなんだろう。

このバトルが始まってからずっと口角が上がっている。

じゃあ最後に、勝って笑おう。

最高の笑顔を浮かべよう。

『オオタチ！勝とう！！』

「っきゅう！」

バトルは、勝っても負けても楽しいんだ。

でも勝った方が楽しいし、嬉しくなる。

なら、答えは一つだけ。

レッド「……！」ﾆｨｯ

相手が誰であろうと本気で勝ちに行くんだ。

それは目の前の幼馴染みも同じ。

ロケット団のボスにだって果敢に挑んでいった彼は、いつだって……

レッド「本気！」

「ぴぃか！」

……ありゃ、自分から言った。

まあいいか。

勝てないかもしれない強い相手。

だからこそ、燃えるでしょ？

『下克上といこうか！』

レッド「……させるわけないでしょ！！」

そのとき、勝負が動いた。

オオタチの拳がピカチュウに叩き込まれる。

ほとんど同時にボルテッカーがオオタチに突き刺さる。

「きゅ……！」

「ぴっ……！」

両者が吹き飛ばされ、ゆっくりと倒れ込んだ。

ユウキ「オオタチ、ピカチュウ共に戦闘不能！」

相打ち……

『あー、疲れた…お疲れ様、オオタチ』

オオタチを労ってボールに戻す。

耐久戦のつもりだったんだけど、僕もだいぶ戦闘狂らしい。

緊急事態だというのにドンパチしてしまった……

レッド「楽しかった」

僕は結構消耗してるというのになんでピンピンしてやがるんだ、こいつ？

『……相変わらずだな、お前』

レッド「そっちこそ……っ！」

前言撤回、こいつも相当疲れてたみたい。

地面に座り込んだレッドを見る。

フルバトルしたらどうなるんだろうか……

補足

完全に置き去りのホウエンリーグの皆様。

「「「「やっば……」」」」

ダイゴ「これは……」

ユウキ「うわ……審判しなきゃ………」←

まだまともな思考が残っていたユウキくんが結果を述べた次第です。

フルバトル？

このバトルみたいなものを？

あと五個？

無理ですごめんなさい。

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