トリップ８５ ページ11
【ロウレスside】
時刻は夜中の2時。
コンコン、と扉をノックする音。
「はーい、なんっスかー？」
と返事をすれば
「失礼…」
初めて見る看護師さん。こんな人今日の夕方いたっけ…？
「？見回りっすか」
夜勤の人変わったんっスかね、とか思いながら聞けば急に姿が変わる看護師さん。
「違うわ」
そういって微かに浮かべるオッドアイの女の人。
レイピアを構えるも力は入っていない。
「…誰っすかあんた」
なんでこんな時に…！
殺気を向けるも戦える気はしない。
「椿の主人だった人間よ。あなたに聞きたいことがあってきただけよ。敵意はないわ」
"椿の主人"という言葉に一瞬身構えるも、過去形であることや敵意がない、という言葉と、彼女が手ぶらである事から一旦レイピアはしまう。
「主人…だった人間…？それに、聞きたいこと、て…」
なぜ今契約していないか気にはなるが、今は自分の身を守ることを優先する。
「何故あなた達と椿があのホテルにいたの？」
その言葉に顔を見れば視線が交わる。
「…主人だったんなら知ってるんじゃないっすか」
挑発的な笑みを浮かべるも向こうは無表情のまま。
「…私には、記憶がないの。椿達が、やりたいことについて、調べてたいの」
「…味方、なんっスか？」
「ええ、目的は一緒だからね」
何を言っても帰らないな、と察し、諦めて話すことにした。
椿に誘拐されたこと、真昼達は自分達を助けに来ていたこと。
ヒガンとかいう奴のケータイをつかって交渉していたこと。
大まかな流れを話した。
「最後に一つ、聞いてもいい？」
"あの日、コンサートホールで家族を皆殺しにしたのは貴方？"
その言葉に目を見開く。
俺は項垂れ、小さく頷いた。
「…そう…わかったわ、ありがとう…ごめんなさいね、療養中に」
彼女から攻撃が飛んでくると思いきや優しい言葉。
「！？…何も、しないんっスか」
攻撃されてもおかしくはない、と思っていた。
だがしかし彼女はキョトンとし
「何故？あなたがした事に間違いはないはずよ。あの子達だって、殺る側にまわる以上、自分らが殺られる覚悟をもって戦いに挑んだはずよ」
そう言ってのけたのだ。
その言葉に、思考が追いつかず、マヌケな顔を晒してしまった。
「聞きたいことは聞いた、帰るわね」
再びナースの姿になり、すっかり別人になってしまった彼女は病室を出ていった。
「なんなんっスか…あの女…」
彼女の懐かしいような不思議な雰囲気に、病室で一人、頭を抱えた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 74人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
霧島沙羅(プロフ) - アニメラブさん» アニメラブ様！応援ありがとうございます！！亀更新ですが、これからも頑張って参りますので応援宜しくお願いします！コメントありがとうございました！ (2017年9月12日 16時) (
レス) id: d11fd893a6 (このIDを非表示/違反報告)
アニメラブ(プロフ) - 頑張ってください！応援しています！！！ (2017年9月8日 9時) (レス) id: 9491c8ca0e (このIDを非表示/違反報告)
霧島沙羅(プロフ) - オレンジキャンディーさん» オレンジキャンディー様！コメントありがとうございます！べルキアのエアギターはCDネタです(*´▽`*)更新楽しみにしていただけるなんてほんとにありがとうございます！！頑張って更新していきます！ (2017年8月2日 10時) (レス) id: d11fd893a6 (このIDを非表示/違反報告)
オレンジキャンディー(プロフ) - ベルキアのエアギターめっちゃ面白かったです！更新楽しみにしてます！ (2017年8月1日 22時) (レス) id: 5033a6ccf7 (このIDを非表示/違反報告)
霧島沙羅(プロフ) - 紫眼鏡*さん» 紫眼鏡様！コメントありがとうございます！！面白いと言っていただけて霧島はもう、死んでもいいくらいです((((。本当にありがとうございました！頑張って更新します！ (2017年7月21日 20時) (レス) id: d11fd893a6 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：霧島沙羅 | 作成日時：2017年7月12日 17時
