椿の主人は雲の幹部･第２章【REBORN！×サーヴァンプ】 (ページ38)

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トリップ７１ページ38

【御園side】

「怖かっただろう、見つけるのが遅くなってごめね。さあ、それを僕に。」

最悪の事態が目の前で起こってしまっている。

「リヒト、待って…」
「あ？」
「あいつは…マジでやばいっすから」

薄らと笑みを浮かべて椿と呼ばれた男が口を開いた。

「色欲の主人、傲慢の主人、強欲の主人…直接話すのは初めてかな。初めまして」
「そうか、御園は会ったこともなかったのか」

城田の言葉に小さく頷く。

「下位やリリィから話は聞いていたが直接会うのは初めてだ」

どうして椿がここにいる。
椿を呼び出した場所からこんなにすぐに戻れるはずは…

「ヒューが…どうなったか知ってんのか」
「鉄！」

ずいっと一歩前に出てくる千駄ヶ谷。

「千駄ヶ谷！待て！」
「…ヒューは？」
「あぁ…見てわからなかった？」

ビリッと千駄ヶ谷が殺気を向けるのがわかった。

椿が手品のタネ明かしをするが不可解な点が浮かび上がってくる。

吸血鬼と主人の間に信頼関係があればサーヴァンプは倒されないはずじゃ…！？

「椿、貴様、主人はどうした。」

向こうにもいない上にこちらにもいない。
それも不自然なのだ。

「A？Aならどこかにいるんじゃないかな。それより、信じられないなら今もう一つ…目の前で壊して見せようか？」

"怠惰"の真祖がいきなり飛び出し、椿を切り裂いた。

「殺気に対してあまりにも無反応すぎた。幻術だろ」
「キツネ…！」
「幻術だったのか…」

黒いキツネが笑いながら消えていく。
タグがこちらの手元に戻った、椿が戻る前にここを去らねば…

「せーいかいっ」

コンッと音がし現れたのは

「だけど…時間切れだ」

本物の椿ー。

「久々に全力で走っちゃったよ、お待たせ、ライラ。」

椿の手にはロウレスのタグ。

「奪おうとすればよかったのに！さっきの"僕"は幻だったんだから」
「…っ」
「失敗した、敗北した、という恐怖は人をすくませ、正しい判断を出来なくさせる」

だから、"憂鬱"に化かされる、と椿が呟く。

「…椿…お前は…何をしようとしてるんだ。」
「…先生の期待に答えたい…先生は僕に"後片付け"を期待している。散らかったままの世界を…」

ぼたり、ぼたりと血のように椿の花が袖から落ちていく。

「そして、Aの為にも…」
「…Aの、為…？」

何故ここであいつの名が？

「僕は手段、僕は方法。サーヴァンプを"殺す"唯一の方法」

手をあげれば黒い刀が現れ

「やめろ…！」

タグを真っ二つに切り裂いた。