椿の主人は雲の幹部･第２章【REBORN！×サーヴァンプ】 (ページ21)

今日:16 hit、昨日:0 hit、合計:34,214 hit

トリップ５５ページ21

継承式も終わってるし、依頼もそんなに多くはない。

フランには逃げられてしまったし。

比較的穏やかな日々を過ごしている。
談話室でスクアーロと同時にため息をつく。

「暇だなぁ…」
「…穏やか過ぎて暇だわ…」
「ひーめっ買い物行こうぜ」

私のことを姫とかふざけた名前で呼ぶのはベルしかいない。

「姫はやめてってば…恥ずかしい…」

ざわ、と心が一瞬ざわついたがすぐにおさまった。

誰か…言ってたよな…なんだっけ

「えー…A、て呼ぶのもいいけど、俺王子だしぃ？」

思い出せないなぁ、と思いながら抱きつこうとしてくるベルを押しのける。

「欲しいものないし、どうでもいい」
「えぇ…」

自室へと戻り、適当に上着を着て、窓を開ける。
下を見れば花が咲いていた。下に誰もいないことを確認し、飛び降りる。

「綺麗…」

ええ、となんだっけ…この黄色い花…

「オトギリ」

無意識に口から出た言葉に首を傾げる。

「オトギリ、オトギリ…オトギリ…？」

ケータイを取り出そうとし、壊れて今は修理中であることを思い出す。

ぷち、と一輪だけ摘み取り、書庫へと急ぐ。
なんだか、ワクワクする。

植物図鑑を開き、調べればオトギリソウであることが分かった。

「オトギリソウ、か…」

なんだか懐かしいな、と思いながら押し花の用意をする。

きっと綺麗な栞となるだろう。
そっと1人で微笑んで本を閉じた。

「A…珍しいね君がこんな所にいるなんて」
「マーモン。綺麗な花を見つけてね、押し花にしようかと思って」

ぽふ、と音を立てて机に着地するマーモンに本にはさんだオトギリソウを見せる。

「オトギリソウだね…ルッスーリアがなにか植えた、と言っていたけどこれの事かな。」
「あら、そうなの？ルッス姉さんからは薔薇を植えた、と聞いていたわ。」

お互い見合わせこてんと首を傾げる。

「まぁ、どうでもいいわ。ルッス姉さんが選んだ花ならどれも素敵でしょう」
「君、本当にルッスーリアの事好きだよね」
「そうかしら？」

ルッス姉さんの事は確かに好きだ。
趣味もあうし、好みも似てる。

「君のその口調、ルッスーリア仕込みだろう。来た時そんな話し方してなかったよ」

もっと荒れてたし、口も悪かった、とマーモンが言う。

「今もそっちに戻そうと思えば戻せるけど？」

にこっと笑っていえばマーモンが首を横に振った。

「ルッスーリアに怒られるからやめておいてくれないかい」
「私も怒られるしやらないわよ」