椿の主人は雲の幹部･第２章【REBORN！×サーヴァンプ】 (ページ17)

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トリップ５２ページ17

【椿side】

Aが本当に異世界から来たんだな、と誰もいなくなった公園で一人そう思っていた。

かこん、かこん、と下駄を鳴らしながら帰る。

人もいなければ車の通りも少ない。

下駄の鼻緒、切れかけだな、と思いながら歩く。

「椿」
「ヒガン」

名前を呼ばれ、顔をあげればヒガンがタバコ片手に立っていた。

「仲直り、出来たかい？」
「煙たいよ…ヒガン…。多分、ね」

パタパタと手で扇ぐ。

「無事、帰れてるといいなぁ…」
「そうだねぇ…」

立ち飲み寄って帰る？とヒガンに聞かれ

いいね ♪ と返し

互いに顔を見合わせにんまりと笑う。

適当にお店に入って、日本酒を頼む。

「たまにはいいねぇ…こういうのも」
「そうだねぇ…」

くいっと日本酒を煽る。

「……ねぇ、ヒガン…」
「ん…？」

口を開きかけてやめた。

「……なんでもない」

人に恋した吸血鬼の末路なんて、悲恋なものが多くて面白くない。

彼女がもし、僕が好きなことを知った時、彼女はなんというだろう。

どうでもいい、かな

真顔でどうでもいい、と呟く彼女の姿が頭に浮かぶ。

「椿は本当にお嬢ちゃんが好きだねぇ…」
「へ？」

唐突に言われ声が裏返る。

「今お嬢ちゃんの事考えてたのかな」

ニヤニヤしてたよ、と言われ口元を押さえれば楽しそうに笑う声。

「考えてたさ…Aのためにも、少しだけはやく、動くべきかもしれないね…」

彼女のためにも、生きやすい世界を、ね