椿の主人は雲の幹部･第２章【REBORN！×サーヴァンプ】 (ページ15)

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トリップ５０ページ15

もう少し、ネカフェにいればよかったな…。
公園のベンチに座り膝を抱え込む。

ネカフェにいるとヒガンさんからメールが来ていて。
少しだけ椿と話をしてほしい、という内容だったのだが、私はそれを頑なに拒んだ。
椿と合わせる顔がない…。
だが、どうしても、も粘られ言われ、私が折れてしまったのだ。

それもあってここにいるのだが、本当に来るのだろうか。

それになんだか、もやもやする。気持ちが悪い。
こんな気持ち、はじめてだ。

スクアーロ達と離れた時、こんな気持ちにならなかった。
スクアーロ達は、仕事仲間で、先輩で、椿達は、私の事を家族だ、と言ってくれた人達だ。

「あぁ、そうか、これが辛い、それと寂しい、のか」

椿達と離れ離れになるのが辛いんだ。
椿達と会えなくて寂しいんだ。

帰ってしまえば椿達にはもう会えない可能性があるから。
大切な家族だから。

「家族、か…」

でも、もう、いらない、て言われちゃったもんな…。

あと１時間もすれば、帰ることになのだが

「…椿…」

そっと名前を呟けば、かこん、と下駄の音がした。

「…呼んだ？A…」
「……読んでない」

ふいっとそっぽを剥けば抱きしめられる。

「ごめんね、A…」
「…やめて。」

とん、と肩を押し引き離す。

「A…」

いらない、と
必要ない、と

はっきりと言われたのに、優しくなんてされたら、ここに残りたい、と思ってしまう。

しばしの無言。

沈黙が心地よい、と思ってしまうのは、何故だろう。

ちら、と懐中時計を見ればもう5時半であった。
あと30分もしたら、帰る時間、か。

口を開こうとすれば、先に椿が沈黙を破った。

「A…傷つけて、ごめんね」

椿の顔を見れば今にも泣き出しそうな顔をしていて

「本当は、帰って欲しくない。Aも大切な、家族なんだ。傷つけてしまって、本当に、ごめん」
「……椿…」

胸が、酷く痛む。

「僕達は吸血鬼だ、不死身だし、そう簡単に死ねない。だから、Aがこっちに帰ってこれるのなら、それまでずっと、待ってるから」

ぎゅっと椿を抱きしめる。

「ありがとう…椿…。」

戻ってこれるのなら、待っていてくれるのなら

「私…頑張るから…」

さようなら、は言わないでおこう。

「またね…椿…」

ふわ、と体が軽くなると同時に意識を失った。