椿の主人は雲の幹部･第２章【REBORN！×サーヴァンプ】 (ページ12)

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トリップ４７ページ12

誰もいない静かな部屋で、1人、ため息をつく。

「あは…バチが当たったのかな…」

そっと目を閉じ、通話の内容を思い出す。

「倒れていた彼女を拾った者です。」
「ちょっと、返して…！」

Aがケータイを取ろうとしてくるがひらりとかわし、幻術の空間へと逃げ込む。

「…一つ、頼みがあります。彼女を、絶対にそちらへお返したいのです」
『…どういうつもりだ。Aのあの様子からして、帰りたくない、と言い張るのだと思ってたが』
「…確かに彼女はそう言っています。ですが、こちらの世界は、彼女がいた世界より危険です」

そう言えば、ハッとわらう声がした。

『Aは一二を争う実力者だ。そう簡単にはくたばらねぇ。が、こちらも帰ってきてもらわねぇと困る。』
「…では」
『協力してやる。が、あいつがやるべき事を終えた時、お前の所に帰りたい、と言った時、てめぇが責任とって受け入れろ。』

それが条件だ、と向こうのボスは言った。
二つ返事で承諾し、あとは演技だ。

教えてもらった禁句を並べ、Aとの契約を解除し、出ていくように仕向けれる。

Aは軽く荷物をまとめて出ていった。

「……これで、よかったんだ。これで…」

そっと目を閉じ、言い聞かせるように呟く。

明日まで宿はどうするのかな…
公園で野宿するのかな…
ネカフェかな…

寂しい、な…

ふ、とAの柔らかな笑顔が頭をよぎる。

「……憂鬱だ…」

これからどうしようか、と考えようにも気がつけばAのことばかり考えていて

「…あ…そう言えば…」

フラ、と立ち上がり、台所へ行き、シャムロックが隠していた日本酒を取り出し、一気飲みする。

半分程一気に飲んだところで一旦飲むのをやめた。

「あは、あはははははは、あははははははははははは、あはははは」

頬を伝う熱いもの。

「はは、は…、」

それは涙だ、と認識すると同時に、しゃがみ込む。

「A…ごめんね…」

どうか、どうか、帰ってこないで

幸せになって欲しい

僕らの事など忘れて

心の底からAの事を愛していた

「一応、今どうしてるか調べ…たら、迎えに行きたくなる、よね」

出ていく時、パーティしよ、て言ってたのに、な…

ふるふると頭をふり、酒を煽る。

忘れなきゃ、Aの事も、この感情も…。

気がついた時には寝てしまっていて、帰ってき家族に囲まれ、質問攻めにあう数時間前のお話。