トリップ３３ ページ40
今日の夜の散歩はやめてそばにいなさい、と椿に言われたがやだ、と言って無理やり出てきたのだが
「……何これ…」
あっちこっちで白いものを背後に背負っている人や信号機の上に白いものが積もっている。
椿に出かけるなら絶対これつけて、と言われてつけてきた伊達メガネを外しても見える。
振り払うようにして出てきてしまったからな…。
この白いのについて聞いとけばよかった。
骸骨みたいな顔をした白いものをつんつんしてみる。
「あっまたいる…！」
声の方を見れば真昼が箒を振り回していた。
「真昼？」
「あ、A！」
「モォ〜〜〜☆★今日僕忙しいのにィ〜〜☆」
が、とべルキアが真昼の箒を踏んずけた。
「せっかく増えてきた灰塵を勝手に消すなよォ〜〜☆★」
「！！お前…っ」
あー、そっか、真昼たちはべルキアの事知ってるもんね…。最悪のタイミングで会っちゃったな。
「髪型変えた…？」
「あンの露出狂の変態ちょうちょに切られたからだよォ〜！！ポニテ気に入ってたのにィ〜〜ッ」
プンスカ怒るべルキア。
そんな事もあったな、と思い出していればバチ、と目が合ってしまった。
「この状況っ…椿が…お前らがやったのか！？どうして…」
チラ、と真昼達の方を見れば言いたいことが分かったのか何も言わずに問いかけに答えてくれた。
「べ〜〜〜っにィ？吸血鬼にとって生きやすいようにしただけじゃ〜〜〜ん☆★」
ていうか、なんでべルキアがここに？迎えに来たのかしら。
コンビニの袋持ってるから多分、椿のおつかいね。ダッツでも頼んだんでしょうきっと。
「ほら☆灰塵が運んでくれた人間が大量だよォ？★」
すっと近寄ってきた女の子の首に噛みつき
「血ィ吸わなきゃもったいないねェ？」
ゲス顔を浮かべるべルキア。
煽るわねぇ…
「やめろ！！」
真昼がそう叫べば、腕に噛み付いた怠惰がべルキアの腕を切り落とす。
「こッ…のォ〜〜ッまたッボクの腕を〜〜ッ」
また……？
今、またって言ったわよね。
「で〜〜〜も〜〜〜？なくなったはずの腕もアラ不思議〜〜〜？」
バサッと布を広げるべルキア。
ナイフに手を伸ばそうとすればべルキアがこちらを見ていて、だめ、と口パクで言ってきた。
「ドゥルルルルルルルルル☆★」
ぐっと堪える。目の前で、大切な家族が傷つけられたら、さすがに堪える。
べルキアの手品により無事腕は戻ったが
真昼は、友達を傷つけられたら怒るわよね
私達も、同じなんだよ？、と心の中で呟いた
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作者名：霧島沙羅 | 作成日時：2017年6月2日 14時
