トリップ２ ページ4
【椿side】
水を飲もうとした瞬間、気がついたら床にいて女の子が腹の上に跨っていた。
「動くな」
ちら、と見れば首元にはナイフ。
シャムたちが殺気をたてるのがわかる。
「動けばこいつを殺すぞ。」
首にナイフをあてたまま器用に僕の体を起こし、背後にまわる女の子。
拳銃まで持ってたのか
「あは、はははははっははは！あー…面白くない…。えらく手馴れてるね、君」
そう話し掛ければチクリ、と首に痛みが走る。
「若……！！貴様……っ」
そ、とシャムを目で制する。
「黙れ、お前らは動くな。私の質問にさせ答えれば、命は助けてやる。」
背後から殺気と血の匂いと
時折苦しそうに吐き出される息。
「君、もしかして怪我してるの？」
「っ、」
ビクっと僅かに揺れる手。
「僕達は君に危害を加えるつもりもないし、倒れていた君を助けただけだし、一旦これ、離してくれない？」
ナイフを持っている女の子の手に自分の手を添え、後ろを見れば目が合った。
「……。」
そっとナイフを離れ、拳銃もしまう音がした。
とん、と背中を押され、僕はオトギリいる方へ行く。
「つばきゅん…あいつ串刺しにしていい？いいよね？？」
「大丈夫ですか若！？」
「何やられてるんですか…まったく」
「…制されても、困ります…私たちなら、助けられたのに…」
矢継ぎ早に言われるが、何故か女の子の方が気になり、しー、と口の前で人差し指を立て静かにしてもらう。
「とりあえず、傷の手当してあげるよ。名前は？」
後ろで文句が聞こえるが聞こえないふりをする。
「………A。…A・エグランティーナ」
「A、ね。僕は椿。君の知りたいことはなんでも教えてあげるから」
そっとAの手を取り
「僕の主人になってよ」
そう言った。
その後数秒遅れて「「「はぁ！？」」」という声と
さまざまな意見や罵倒が飛んできたのは言うまでもなかった。
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作者名：霧島沙羅 | 作成日時：2017年6月2日 14時
