トリップ２３ ページ28
【桜哉side】
夏休みまであと3日程なのだが
「…ごめん…A…」
何故Aがここまでぐったりしているのか
その理由は、遡ること一日前。
「桜哉最近全然血、吸ってないけど大丈夫…？」
いつもの特等席でまどろんでいると椿さんからそう言われた
確かに喉は乾いているが、飲みたい気分でもなくて
「よかったら私の血、吸う？」
、とAが言ってくれたが、椿さんの目もありその時はいい、と頑なに断っていた。
、が限界流石に限界が来たようで
その日の夜、みんなが寝静まった頃、Aの部屋に訪れた。
Aは案の定起きていて、武器の手入れをしていた。
「来ると思ってたわ」
そう言って武器であるナイフをしまうA。
「ごめん…A…」
「いいよ、別に」
おいで、とベッドに腰掛けたAが首筋を晒す。
その首筋には、椿さんが噛んだ跡があって。
なんか、腹立つな…。
肩を押し、ゆっくりと押し倒す。
キシ、とベッドがきしむ音がする。
あの人と同じ場所は嫌で鎖骨に牙を埋め込む。
「い、た…」
ちら、と見上げれば苦痛に顔を歪ませるAの顔が視界に入る。
「…ごめん…でも、首は…嫌だ…」
あの人と同じなんて死んでも嫌だ。
ガリ、と音がしそうな勢いで鎖骨に噛み付けば小さく悲鳴をあげるA。
「い、…ぁ…」
甘すぎて目眩がしそうだ。
ジュル、と音を立ててすえばびくっと体を震わせるA
「…ぁ、…はぁっ、」
「美味しい…」
ぺろ、と傷を舐めれば頬を赤らめるAに
「気持ちいいんだ」
と薄らと笑を浮かべながら囁く。
「っ違う、わよ」
更に頬を赤らめるAに
「嘘つき」
と呟きまた鎖骨に牙を埋め込む。
「あ、…」
びくっと体が弓のように跳ねる。
こくこく、と音を立てて血を飲む。
美味しい、もっと、欲しい
ただそれだけしか、頭になかった。
「さく、やぁ…」
はぁ、とAの熱っぽい息が髪にかかる。
「んー？」
傷を舐めながら顔を見れば、頬を赤く染め、涙目でこちらを見るAに
理性が吹き飛んだ
気がつけばかなり飲んでしまっていて、しまった、思うと同時に、Aが生きてるか心配になり、胸に手をあて
とくとく、と波打つ心臓に、安堵する。
「よかった…」
「何が良かったの？」
ふ、と耳元で聞こえた椿さんの声に驚き、ばっと振り向く。
ニコニコ、といつもの笑みを浮かべた椿さんがいて
「後でゆっくり話しようか」
という言葉に更に肝が冷えたのは言うまでもない
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作者名：霧島沙羅 | 作成日時：2017年6月2日 14時
