トリップ１９ ページ24
「もしもし」
『A？そろそろ時間だと思うから早く帰っておいで？』
後ろでべルキア達が騒いでる声が聞こえる。
「分かってる。もうちょっとしたら帰るわ。一応近くに来ておいてくれると助かるんだけど」
『ダッツ「ダッツはこの前買ったからまた今度ね」えぇー…』
残念そうな声に笑みが零れる。
「ダッツ以外なら考えてあげる」
コンコン、と後ろでノックする音が聞こえ振り向けば真昼いた。
指さす方を見れば色欲に抱えられている御園の姿が。
「もう帰るわ。またあとで」
椿が何か言っているが無視して通話を切る。
「電話切ってよかったのか？御園が寝る時間だから、そろそろ帰ろ。」
「部下からだから大丈夫よ。わかったわ」
鞄を持ち、有栖院家をあとにする。
「何か掴めた？」
歩きながらそう聞けば真昼は難しそうな顔をした。
「掴めたような感じはするんだけど…」
「そっか…私も力になれたらいいんだけど…」
武器は椿からまだ貰っていない。話をしようとすれば必ずはぐらかされるからだ。
「Aも、付き合わせちゃってごめんな…家まで送るよ」
俺にはクロがいるし、と真昼は言うが椿に迎えに来るよう言っただけにな…。
「いや、大丈夫。仕事の事で帰りにちょっと行かなきゃならないとこがあるの」
「あー…そっか、わかった。俺こっちだけど気をつけてな？」
「ええ、真昼も気をつけてね」
私はこっちだから、と手を振り、真昼と別れる。
しばらく歩くと影からシャムさんが出てきた。
「A様、お迎えに上がりました」
「ありがとう、シャムさん。椿は？」
いつもなら来てくれるのに…。
そんなにダッツ却下されたのが嫌なのかしら
「それが自室から出てこられないのです…何度か声をかけたのですが、出たくない、と一点張りで…」
「あー…やっぱり。ごめんね、ありがとう」
私にお礼なんて…！と喜んでるシャムさん。
「ほら行くよー」
トンッと屋根まで飛び、上からシャムさんに手を振る。
「！？お待ちください…！A様！」
いつもなら屋根から屋根へと飛んで移動しながら帰っているのだが
「A様失礼します」
ふわっと姫抱きにされ、そのまま運ばれる。
「え、ちょっシャムさん！？」
「時間が時間故に僭越ながら私が運ばせていただきます」
確かにみんなの方が私より早いけどね！？
なんか体重い…。
「大丈夫ですか？A様…」
「…大丈夫じゃないかも…」
シャムさんがスピードを上げるのを感じながら目を閉じた。
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作者名：霧島沙羅 | 作成日時：2017年6月2日 14時
