トリップ１６ ページ21
限界距離の範囲内なのかな、そろそろやばい気はしてたけどなんの異変もない。
一応椿に連絡だけ入れておくと近くで待機しておくよあとでダッツ買ってね、とメールが来た。
「真昼、ごめんなさいね、お風呂まで借りちゃって」
そっとリビングに向かえばいい匂いが。
「おう！服はサイズ大丈夫そうだな」
ついでだから飯も食ってけよ、と言われる。
「いや、でも流石にそれは申し訳ないし」
「…真昼の飯、うめーぞ…」
ほれ、と怠惰が卵焼きをフォークに突き刺してこちらに差し出してくる。
ぐてぇ、と効果音が付きそうな程机に顔をくっつけていて、"怠惰"だなぁ、と思う。
「いただきます…」
もぐもぐとたべれば
「！？何でこんなに美味しいの！？」
「だろ？」
何故か怠惰の方がドヤ顔する。
「ほら、クロ！チャーハン出来たぞ！」
「んー…」
スプーンを咥え、台所の方へと向かい、チャーハンが丸型に盛られたお皿を二つ持ってくる。
「んっ」
ずいっと差し出されたチャーハンを受け取り、席につくと真昼もチャーハンをよそったお皿を持って席についた。
「ごめんね、いただきます」
「召し上がれ」
パラッパラで程よく炒められたチャーハンにごくっと生唾を飲み込んでしまう。
1口食べて驚いた
「これ、ほんとに真昼が作ったの？」
ルッス姉さんが時々作ってくれたあのチャーハンと良く似ているのだ。
「おう、口に合えば良いんだけど」
「…すごく美味しいです」
懐かしさに胸があたたかくなるのを感じながらチャーハンを食べる。
「でさ、気になってたの事なんだけど」
「暗殺部隊の事？」
真昼が入れてくれたお茶を1口飲んで説明する。
「イタリアンマフィア・ボンゴレファミリーの独立暗殺部隊ヴァリアー、ていう暗殺部隊の幹部です」
「なるほどマフィアの、てえ」
「そうマフィアです私は」
まじまじとこちらを見つめてくる真昼。
「何？」
「A、て…15、だよな？」
「うん」
見えない、てよく言われる、と付け足せば真剣な顔になる真昼。
「…暗殺…、てことは…人を殺すのか…？」
「……殺すよ、もちろん。それが仕事だもの」
目を細め殺気を向ければ真昼を庇うかのように隣に立つ怠惰。
「でも、私達は一般人を殺したりしないわ。基本的に依頼として来るのは私達と敵対しているファミリーや密売人とか悪い人よ。」
両手を上げて降参のポーズを取れば怠惰はすっと席へと戻った。
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作者名：霧島沙羅 | 作成日時：2017年6月2日 14時
