トリップ１４ ページ19
その日は結局真昼は帰ってこなかった。
翌日、雨が降る中、私は昼から登校した。
朝起きれず、桜哉には置いてかれ…
椿も昼まで寝ていて、他の家族達は用事で朝からおらず…
私を起こす人がいなかったのだ。
「やっときた、おはよう」
「おはよう、桜哉」
ふぁ、と欠伸をしながら席につくと同時に6限開始のチャイムがなる。
んー、眠たい。学校通うなら夜更かし出来ないわね、と思いながら教科書を開く。
昨日椿の家族が定例会を開く、と情報を得てきた。
その為学校が終わったあと、着替えたらファミレスへと向かう予定だ。
ヴァンパイアハンターとして。
我ながらよく考えたな、と思うが
問題はサーヴァンプ達まで騙せるか、という点だ。
魔女の方が歴史的にも騙しやすいとは思うが、魔法なんて使えないし、椿はいたとは思うよ？て言ってたし、それで行くしかない。
ヴァンパイアハンターとしての設定を再度確認しながら授業は聞いてるふりをする。
「ここテストに出すぞー」
そう聞こえ、板書だけはしておく。
気がついた時には授業は終わっていた。
「城田くん！手伝いマス！」
教室の掃除のため、机を後ろにまとめようとしている城田真昼に声をかける。
「真昼でいいよ！ありがとうAさん」
「あ、なら私もAと呼んでください！さん、いらないデス！」
じゃあ俺達も、と虎雪や龍征にもAと呼んでほしいと伝える。
「クロちゃん、その机動かすので、こっちに来てください」
ひょいっと抱きあげればにゃー、と鳴くスリーピーアッシュ。
「ここにいて下さいネ」
よいしょ、と邪魔にならないよう奥にやった机の上にのせる。
頭を撫でればゴロゴロと喉を鳴らす。
本当に猫の様だ。
掃除を終わらせ、真昼たちと別れ、ホテルへと戻る。
雨は勢いを増すばかりだ。
「ただいま」
「おかえり、A」
ぎゅー、抱きしめられて苦しい。
「椿、「本当に、今日、行くの？」」
多分、サーヴァンプ達の定例会の事だろう。
「…ヴァリアーは、いかなる状況でも任務を完璧に遂行するわ。大丈夫よ」
信じて、と呟けば、腕の力が弱まった。
「……もしもの時は必ず呼んで…」
「わかってる、その時は、よろしくね？」
着替えてくる、とつぶやいて、自室へと向かう。
白いTシャツに黒のロングパーカと、デニムのショートパンツとニーハイ。
ナイフが仕込んであるブーツを履き、首から下げているヴァリアーリングにそっと触れた。
「大丈夫」
必ず成功させてみせる。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 54人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：霧島沙羅 | 作成日時：2017年6月2日 14時
