トリップ１２ ページ17
【桜哉side】
なんで
「城田くん！よかったら、ランチご一緒どうですか？」
なんで
「！Molto carina！！猫ちゃんですか？！もふもふデスネ！」
なんで…！
Aさんがいるんだよ…！(あと真昼と近い…！)
何も知らされていないが、自然と学校に海外からの転校生として馴染んでいるAさん。
「綿貫くんも一緒にランチしましょう！」
にこ、と笑いかけてくるAさんは本当に年相応の子だ。
「おう！真昼も早く食べようぜ」
お弁当を持ち寄り、いつものように1箇所に集まる。
「ねぇねぇ、Aさん。その目、てもしかしてオッドアイなの？」
「虎雪くん、ですよネ！そうデスよ！」
お弁当箱に綺麗に詰められたサンドイッチ。
シャムロックだな、きっと
「やっぱり！すごく綺麗だなぁ、と思って」
「なっ！？そんな、照れますネ」
かぁ、と頬を赤らめえへへ、と笑うAさん。
どこまでが演技なのか全く分からない。
「？桜哉、どうかしたか？」
手止まってるぞ、と龍征に言われ、焼きそばパンを開けようとしたままだった事に気がつく。
「最近聞いた噂について考えててさー」
「あぁ、あの吸血鬼がどうこう、ていう話」
真昼がお弁当の卵焼きを箸で切りながら相槌をうってくれる。
ちらっと見ればAさんと目が合うと同時に、スッと目を細めるAさんにへら、と笑いかける。
「あ、綿貫くん！よかったら、放課後学校案内してくれませんか？」
「桜哉でいいよ！放課後かぁ、文化祭の準備があるけど」
言葉を濁らせれば龍征が
「ちょっとだけぬけたらどうだ？」
桜哉がいても進まねぇし、と呟いた。
「酷い！！」
そんなやり取りを見てAさんはくすくす笑う。
Aさんの本当の目的は案内だけではないのだろう、と思いながら焼きそばパンを頬張った。
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作者名：霧島沙羅 | 作成日時：2017年6月2日 14時
