わんわん O7 ページ7
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走った。
これ以上に無いくらい全力で、息が切れるくらい必死に。
涙が出そうなくらい心配だった。
心配で不安で、そんな自分が嫌になった。せんせーの事は誰よりも信じたいのに。
そんなわけないって、思いたいのに。
「っはぁ、」
今日は珍しく全ての授業を受けた俺を褒めて欲しくて、ギューってして欲しくて、急いでせんせーの所に駆け出した。
…………その途中に見たのは女の人をお姫様抱っこして歩くせんせー。
見たくなかった、行かなかきゃ良かった。
後悔ばかりが募る中不思議と足は保健室に向かっていた。
「 ……っせんせー!! 」
扉を勢いよく開けそのまま俺が叫ぶと、ビクリと揺れる二つの肩。
俺を見つめる二つの目は呆れともう二つは戸惑い。
そしてそんな2人の近くには包帯とガーゼのようなもの。せんせーに差し出された女の人の足首には器用に包帯が巻かれていた。
………まさか、
嫌な予感が頭をよぎった途端せんせーは俺に近づいた。
そして、ため息を零し呆れながらむにゅっと両手で俺の両頬を抓った。
「 痛っ、」
『 静かに開けろって何回言わせんの。扉ぶっ壊す気かお前 』
「 ん、へんへっ、 」
『 今、大事な治療中だったんだけど 』
「 …………ごめんなさい 」
…………… あー恥ずかしい。
俺が勝手に先走って変な想像しちゃって、せんせーに迷惑をかけてしまった。
俯く俺を見てせんせーは伸ばした手を離す。
「 あの、」
「 誰あんた 」
「 っ、すみません 」
『 ………こら、ガン飛ばすなよ。
すみません。こういう奴なんで、気にしないでください。歩けますか? 』
「 はい、お陰様で大分楽になりました……! 」
『 そうですか、良かったです 』
「 ………… 」
名前も知らないアホ女にせんせーはニコリと微笑む。
その効果は抜群で相手は顔を真っ赤にしながらお礼をしてそそくさと保健室を後にした。
…………そんな顔、俺以外の人に向けないでよ。
ふつふつと独占欲がこみ上げてくる中、上から不機嫌そうなせんせーの声が降り注いだ。
『 いい加減にしろって 』
______安心と恐怖で、ずっと溜めていた雫が頬を伝った。
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あんこもち(プロフ) - 夢主「女っていうかゴリラ」…あるふ(殴 (2019年7月9日 18時) (レス) id: 1c5e807086 (このIDを非表示/違反報告)
むんく 。(プロフ) - 兎蒼さん» お楽しみにしている所大変申し訳ないのですが、今最終編を書いている途中で、ある程度お話書き終えてから公開する予定ですのでそれまで待機していただけるとありがたいです(´;ω;`)ご迷惑お掛けして申し訳ございません<(_ _)> (2019年1月6日 2時) (レス) id: a3ad9b8291 (このIDを非表示/違反報告)
むんく 。(プロフ) - ありすさん» 面白いと言って頂けて大変嬉しいのですが今最終編を書いている途中でしてある程度お話書いてから公開する予定でしたのでそれまで待機していただけるとありがたいです(´;ω;`)申し訳ございません<(_ _)> (2019年1月6日 2時) (レス) id: a3ad9b8291 (このIDを非表示/違反報告)
むんく 。(プロフ) - ふわりさん» 今続編を書いている途中でして、ある程度お話を書いたら公開するつもりですのでそれまで待っていただけるとありがたいです<(_ _)>大変申し訳ございません(´;ω;`) (2019年1月6日 2時) (レス) id: a3ad9b8291 (このIDを非表示/違反報告)
兎蒼(プロフ) - パスワードかかってて見れないです。気になるのにぃ… (2019年1月5日 11時) (レス) id: 12b1047a8c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:むんく 。 | 作成日時:2018年6月23日 14時