わんわん 23 (回想) ページ23
.
私は、あの時から貴方だけを見ていた。
大きな桜の木の下、ベタかもしれない。
だけど私は儚く笑う貴方に恋に落ちてしまったんだ。
初めての感覚に頭が追いつかなくて、これが世にいう一目惚れなのだと思ってしまった。
『 あれ、新入生? 』
「 えっ? 」
その時の衝撃は今でも忘れていない。
世の中にこれほどまでに綺麗な人が居たんだって、思わず二度見してしまった。
透き通る白い肌、大きくて真っ黒な瞳、女子顔負けの長い睫毛、高くて筋の通った鼻、少し長いストレートの黒髪、けれど眉毛は男らしく文句無しのThe美少年って感じの。
『 あ、』
「 ………っ 」
急に近づいてきて頭に手が添えられたと思ったら、桜の花びらを「 ほら、 」と、微笑んで見せた。
ドクンドクンと正常ではない脈打ちが私の心を乱していく。
「 あ、あのっ 」
『 ん? 』
「 お、お名前聞いてもいいですか……? 」
『 ……3年、西条A 』
「 ………西条先輩、 」
ああ、だめだ。心臓の音聞こえちゃう。
不意に貴方の顔を伺うと息を飲んだ。
横顔が儚くて今にも消えてしまいそう、だけど凄く綺麗で。
『 ねえ 』
「 は、はい 」
貴方に声を掛けられるだけで、ドキドキしちゃって舞い上がっちゃって、もうそれだけでおかしくなる。
『 この桜が散るのっていつだと思う? 』
「 え? 」
正直凄くビックリした、戸惑った。
いきなりそんな事聞かれたって、どう答えていいか分からない。
けど、答えなきゃいけない気がして、懸命に考えた。
「 梅雨明け、くらいですかね 」
『 ………そっか 』
貴方はただそれだけ言って黙ってしまう。
何かいけないこと言ったかななんて記憶を辿っても、特に気に触るような事は言っていない。
「 あ、あの…! 」
「 お兄ちゃん! 」
.
_______あ、
『 優?お前入学式終わったの? 』
「 ううん!!抜け出してきちゃった!! 」
『 はあ?お前なぁ、』
_______なにその顔
「 ??あれ、もしかしてお兄ちゃんの彼女?」
『 んなわけねえだろ、ほら早く帰ろ 』
「 えー隠さなくていいのにーっ!!! 」
『 煩い、抜け出したこと言うぞ? 』
「 なっ、それはずるい!! 」
_______何でよ。
『 じゃあね、話せて楽しかった 』
_______行かないで。
「 ……………、」
_______あ、唇……血出てる。
.
661人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「歌い手」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あんこもち(プロフ) - 夢主「女っていうかゴリラ」…あるふ(殴 (2019年7月9日 18時) (レス) id: 1c5e807086 (このIDを非表示/違反報告)
むんく 。(プロフ) - 兎蒼さん» お楽しみにしている所大変申し訳ないのですが、今最終編を書いている途中で、ある程度お話書き終えてから公開する予定ですのでそれまで待機していただけるとありがたいです(´;ω;`)ご迷惑お掛けして申し訳ございません<(_ _)> (2019年1月6日 2時) (レス) id: a3ad9b8291 (このIDを非表示/違反報告)
むんく 。(プロフ) - ありすさん» 面白いと言って頂けて大変嬉しいのですが今最終編を書いている途中でしてある程度お話書いてから公開する予定でしたのでそれまで待機していただけるとありがたいです(´;ω;`)申し訳ございません<(_ _)> (2019年1月6日 2時) (レス) id: a3ad9b8291 (このIDを非表示/違反報告)
むんく 。(プロフ) - ふわりさん» 今続編を書いている途中でして、ある程度お話を書いたら公開するつもりですのでそれまで待っていただけるとありがたいです<(_ _)>大変申し訳ございません(´;ω;`) (2019年1月6日 2時) (レス) id: a3ad9b8291 (このIDを非表示/違反報告)
兎蒼(プロフ) - パスワードかかってて見れないです。気になるのにぃ… (2019年1月5日 11時) (レス) id: 12b1047a8c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:むんく 。 | 作成日時:2018年6月23日 14時