わんこ系とにゃんこ系【男主】

わんわん １３ ページ13

.


「 あ、そらるさんや！！ 」
「 ………来んな 」
「 ええー何でそんな事言うん〜、そらるさんも借り物競争出るんですか？ 」
「 そうだけど 」
「 お、やったら負けられへんなあ〜〜 」


よっしゃ、と妙に張り切る彼を前に俺はどんな顔をしているだろう。
ただでさえ気持ちはぐちゃぐちゃなのに。
坂田は多分純粋にあの人が好きで、勿論俺だってその気持ちを踏みにじりたいわけじゃない。

だけど、せんせーを出されると俺も余裕が無くなる。



「「 位置について、よーい！ 」」


「 ……坂田 」
「 ん？ 」
「 ……………渡さねえから 」
「 っそらるさ、」


＿＿＿＿＿＿パンッ！



固まる坂田を他所に構わず鳴り響くピストル。
それと同時に張り詰めていた緊張感が解けみんな一斉に走り出す。
………宣戦布告されたからには絶対負けてられない。


「「 B組一ノ瀬くんが現在一位を走っております！！意外ですね〜〜！！！ 」」


おい、放送委員。一言余計なんだよ。
半分まで走るとお題箱が近づいてくる。
素早く一つ引いて中身を見ると、思わず息を飲んだ。


「 …………んだよこれ 」


あまりにその内容が衝撃過ぎて体が固まる。
そんな中でも他の選手も紙を引いて色々叫んでいる。


「「 おおっと！一位を死守していた一ノ瀬くんがお題を見た途端固まりました！！一体何が書いてあったんでしょうか！！！ 」」


耳障りな放送を聞きつつも、このままじゃ埒が明かないのでしょうがなく歩き出す。
隣にはお題を確認する坂田が居た。

………まずい。



「 ………っ、」


躊躇いながらも全力である人の元へ向かった。
借りに行く物はただ一つ。

キョトンとしているその手を掴めばゴールへと駆け出す。
そしてそのままゴールテープを切った。


＿＿＿＿＿＿＿


「「 B組一ノ瀬彼方くん一位でゴールテープを切りました〜！！借り物はなんとっ…………保健室のA先生ですっ！！！ 」」

.

にゃんにゃん １４→←にゃんにゃん １２

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す