100回目の猫と愛の矛盾 ページ10
.
学校の鐘が鳴る。と、同時に千尋のなでる手が止まった。
「……さて、行かなきゃな」
ラノベをパタンと閉じて、頭に乗っていた手が離れていった。
行かないで、なんて言えなくて。
「……おい、猫。俺は教室に戻らなきゃ行けないんだが」
本当に困っているらしく、けれど、強引に退けない辺りが優しいんだなぁ、と思わせる。
彼が俺の事を覚えていないのは当然の事で、もし覚えていても、姿が全く違う俺の事なんてわからない筈で。
「……うなぁう」
渋々と、彼の膝を下りた。
これで生き返るのは100回目で、俺を愛してくれた人と分かれるのも100回目で。
どんな姿でも、俺と会う奴は皆優しかった。けれど、二度と会えなくて、会えたとしても、あっちは覚えてなくて、それが辛くて。
愛なんて、いらない。くれてやる。
そう、思った。
きっと、征十郎も、次会った時にも覚えていないんだろうなぁ、なんて。
「……また後で来てやるからそんな顔すんなよ」
千尋は、呆れた様にため息をついて、そういった。
「……うなう」
確かに、愛なんていらない。
愛されて、忘れられての繰り返しの愛なんて。
けれど、それでも、胸のまんなかにぽっかりと空いた穴を誰かに塞いでほしいのだ。
きっと、俺の記憶がリセットされないと無理な話なのだろうけど。
,
68人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「男主」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ミッキー(プロフ) - 私は時々Rがあってもいいと思います。私はあまり見ませんが・・・ (2017年3月15日 15時) (レス) id: bd1f071c6d (このIDを非表示/違反報告)
佳仁(プロフ) - 私は甘めがいいです。Rになるとみれなくなるので。 (2017年3月9日 6時) (レス) id: 6bff3cee54 (このIDを非表示/違反報告)
キチガイな名無しの権兵衛(プロフ) - とおさんさん» ありがとうございます。更新は好きなんですが……更新は不定期になってしまうのですが、どうぞ、これからもよろしくお願いします。 (2017年2月27日 22時) (レス) id: 69acd8442d (このIDを非表示/違反報告)
とおさん - 更新がめんどくさくなってしまうかも知れませんが、息抜きにこの作品の更新を気長に待ちます。どうぞ、頑張ってください (2017年2月27日 21時) (レス) id: 1b875b1d14 (このIDを非表示/違反報告)
キチガイな名無しの権兵衛(プロフ) - makiさん» ありがとうございます。受験生なので回目の更新は不定期なのですが……これからも宜しくお願いします (2017年2月26日 7時) (レス) id: 69acd8442d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:キチガイな名無しの権兵衛 | 作成日時:2017年2月20日 22時