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数刻、町を散策しても探し人はなかなか見つからなかった。
｢あ、あそこですよ、タカ丸さんちの髪結い所｣
｢へぇ、結構人気店なんだな？｣
乱太郎に教えてもらったと言った数馬の言葉に、凪彦は長蛇の列を見て感心した。
｢女性客が多いみたいだな…タカ丸のお父上は相当な技術者のようだ…｣
カリスマ髪結いだなんて言うんだからそれはその通りなのだが。女性の群れがワラワラあるのを目の当たりにしてあそこの中に入っていくのは自分だったら無理だなと思った。
｢お兄ちゃん…アレ孫兵じゃない？｣
藤内が指さした先には淡黄色の小袖を着て首に赤の蛇を巻いた少女が、群がる女性達から離れてぽつんと立っていた。
自分が以前好みの顔という体で生贄にしたその尊顔を見間違えるはずもなく、ついでに言えば首に蛇なんて巻いてる不思議少女なんて彼しか思いつかず、喉をごくりと鳴らして、まさか…と若い女が群がっている場所に視線を移した。
｢伊賀崎！｣
二人を連れて孫兵の元へ駆け寄る。孫兵はジュンコを撫でていた手を止めて顔を上げた。
｢あ、凪彦先輩こんにちは｣
｢ハイ、こんにちは。で、タカ丸は？｣
キョトンとした孫兵が女の人が沢山いる方へ指を指した。
どうやらまさかが当たったらしい。
凪彦はもう一度女が群がっていた方へ向いた。近づいて分かる若い女性の多さにシティボーイタカ丸はこんなに人気があるのかよ！と絶句する。
｢ずっとこんな感じ？｣
｢はい、一旦タカ丸さんの家に行こうとなって向かったらこの有様です｣
｢……二時間くらい？｣
｢はい｣
｢お腹すいたんじゃない？｣
｢まぁ…でも我慢できますし｣
凪彦はため息を吐いた。ここでそんなに忍者を発揮しなくたって……。
｢私がどうにかしよう。そうだな…とりあえず私達も休憩がてら茶店にでも入ろうか｣
全員で団子屋へ入り三色団子をそれぞれ注文させる。
｢後でタカ丸に奢らせよう｣
そう言うと、凪彦は藤内、数馬、孫兵の順に顔を注視する。
｢ウン、孫兵。塗り直し用の紅は持っているか？｣
｢はい？一応｣
｢貸してくれないか？｣
｢どうするんですか？｣
｢なぁに、見てればわかるさ｣
孫兵から貸してもらった綺麗な蘇芳色の紅を小指で取ると自身の唇に差す。
結っていた髪を下ろした凪彦は、懐から手拭いを二枚取り出すと一枚を腰に巻いて湯巻きにし、もう一枚の手拭いを頭に被り吹き流しにして布の片端を食むと着流しを着ていたおかげであっという間に女装になった
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墺士(プロフ) - 夜ながながさん» コメントありがとうございます！応援よろしくお願いします🤍 (12月11日 13時) (
レス) id: 6957722078 (このIDを非表示/違反報告)
夜ながなが(プロフ) - 続編おめでとうございます！そしてありがとうございます！とても大好きな作品です🫶🏻💖これからも応援しています！ (12月11日 12時) (レス) id: ebecf52502 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：墺士 | 作成日時：2023年12月11日 10時
