2-㊴ ページ39
｢色実習と思えばいい、頬で構わないぞ？｣
頬をトントンと人差し指で叩いた。
そういった態度の凪彦へ、また始まった…と四年はそれぞれ思った。こうやって度々凪彦の悪ふざけが始まるので慣れたものである。
くすくす笑って頬が赤いぞ？と指摘すれば三之助は不貞腐れたように唇を尖らせてツーンとそっぽを向いた。
｢別にいいですよ〜だ、奢ってもらえなくたって｣
子供っぽく凪彦から距離をとった三之助へ、凪彦は笑顔を作ったまま困ったように眉を下げる。
｢そう、不貞腐れるな。私が悪かったよ｣
三之助の肩に腕を回して近づくと彼の顳顬に接吻を落とす。
三之助がバッと顔を上げたのと同時に凪彦の腕が引かれた。
｢｢お兄ちゃん！！｣｣
｢いてて…｣
｢お兄ちゃん！！なんで接吻なんか！｣
｢私たちとの関係忘れちゃったの？｣
藤内と数馬の二人がただ顳顬に唇を落としただけの凪彦へ詰め寄る。
｢な、何をそんなに怒っているんだ？｣
｢酷い！私たちの気持ちを弄んで！！｣
｢も、弄ぶって……私はそもそもお前たちの気持ちを知らないわけで……｣
｢言い訳はいいです！！｣
藤内がぷんぷん怒って離れていく。三木ヱ門が｢修羅場か？｣と呟いた。
｢ちょっ！トウコ！待てよ！｣
叫んでる凪彦の元へ店員が近づいて来て、凪彦はアッとした顔をして作兵衛と三之助を指さすと｢ここの二人に！｣と言って立ち上がった。
店員は揚げたばかりの天ぷらを二人の皿に乗せる。それを見た喜八郎が｢最初から奢るつもりだったんでしょ｣と言って凪彦が｢うるっさい！！｣と照れ隠しのように怒って返事をした。
｢お勘定！｣
と声高に叫んだ凪彦へ別の店員が反応して、その人の元へ数馬の手を握って向かった。
｢すみません、あの席の全員分｣
二つの席の全員分の勘定を店員に払って大急ぎで店を出た。
店から出てすぐ、戸の横で壁に背を預けている藤内が居て凪彦は安堵した。
｢なんだ……待っててくれたのか｣
｢実習ですから…｣
｢…ふーん｣
藤内は草履で地面をいじいじしていて、健気だなと思った凪彦は数馬と手を繋いでいない方の手で藤内の手を握る。
｢ほら、行くぞ｣
｢ど、どこに？｣
｢タカ丸のとこだ｣
｢タカ丸さん？｣
｢アイツが伊賀崎のこと孫兵と呼んでないか確認するぞ｣
｢気にしてたんだ…｣
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墺士(プロフ) - 夜ながながさん» コメントありがとうございます！応援よろしくお願いします🤍 (12月11日 13時) (
レス) id: 6957722078 (このIDを非表示/違反報告)
夜ながなが(プロフ) - 続編おめでとうございます！そしてありがとうございます！とても大好きな作品です🫶🏻💖これからも応援しています！ (12月11日 12時) (レス) id: ebecf52502 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：墺士 | 作成日時：2023年12月11日 10時
