2-�� ページ19
残された六年はそれぞれ食器を片し、留三郎は伊作の分の食器も一緒にカウンターへ返す。
留三郎は先程の凪彦の言葉は嘘だろうなと察してやり、三郎の肩をポンポン叩いて食堂から出ようとした。
｢おばちゃーん、おにぎり握って欲しいんですけど…｣
そう言って食堂へ入ってきたのは先程の嵐の原因である西園寺凪彦だった。
凪彦は新しい忍装束に着替えたようで綺麗な葵色を身に纏っていた。
一行と目が合うと凪彦はまだ居たんだ。という顔をした。凪彦の後ろを三年生が通り過ぎて入室していく。
｢あら、西園寺くんどうしたの？｣
｢彦四郎が目を覚まさないので昼餉を摂り損ねてしまってはいけないと思い、握って頂けませんか？｣
｢勿論よ！ちょっと待っててね｣
｢ありがとうございます｣
食堂のおばちゃんとの会話が終われば我先にと滝夜叉丸が話しかけた。
｢凪彦！｣
｢なぁに？｣
｢お前が忍術学園で一番好きな顔はこのスーパースター平滝夜叉丸だろう？｣
｢え…？｣
｢だ〜か〜ら〜それは凪彦のその場しのぎのでまかせだろ！なぁ？凪彦！｣
｢きゅ、急になんだお前たち…｣
｢お前がさっき言っていたでは無いか！一番好きな顔はこの滝夜叉丸のかんばせだと！｣
確かに言った。確かに言ったが、何故今、二人に詰め寄られているのか全く分からない。
｢確かに言ったけど…｣
｢ほら見ろ！私の顔が一番では無いか！｣
｢なにぃ！？昨日は私の顔を可愛いと言っていたじゃないか！！このアイドル田村三木ヱ門の顔を！！｣
言ったっけ？凪彦はウーンと思案して昨日のことを思い出そうとした。
実の所二人の自己肯定感を秘かに上げていたのは、凪彦が可愛い、綺麗、美しい、という枠組みに自分が突出しないよう普段から顔が綺麗な二人、並びに四年生達の身なりを褒めていたからに他ならない。
そのせいで『一番』が付くと争いが起こってしまったのだ。まぁ、二人は元から水と油のようだが。
｢一番とは言ってもオンリーワン的なさ…。二人は系統の違う美人じゃない…｣
｢凪彦はどっちが好きな顔なのだ！｣
｢えぇ！？そんなこと聴いてどうするのさ〜…男に褒められても嬉しくないだろ〜？｣
｢いいから応えろ！！この忍術学園で一番好きな顔は誰なのかを！｣
｢いつの間に忍術学園全体になったのさ…｣
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 77人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
墺士(プロフ) - 夜ながながさん» コメントありがとうございます！応援よろしくお願いします🤍 (12月11日 13時) (
レス) id: 6957722078 (このIDを非表示/違反報告)
夜ながなが(プロフ) - 続編おめでとうございます！そしてありがとうございます！とても大好きな作品です🫶🏻💖これからも応援しています！ (12月11日 12時) (レス) id: ebecf52502 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：墺士 | 作成日時：2023年12月11日 10時
