散り愛 ページ23
いつも通りの時間に帰ってきたはずなのに
家には電気が着いてない。外出…はねぇな。
ドキドキする心臓を宥めるように早足で家へ向かう。
ガチャ
「A？」
返事はない。
靴を脱ぎ散らかしてベットへ向かう。
「A…？」
ベットの上で腹部を抑えて蹲るA。
血溜まりが赤いシーツに出来ている。
『春おかえり』
苦しそうに冷や汗を垂らしながら、皺を寄せながらAが笑う。
『春千夜』
近付けば腹部から血が流れていて、床には一人の男が伸びている。近くには血が着いた包丁。
「A。止血、血ぃ止めろ。深呼吸して」
焦って視界がぐるぐるまわる。
『春千夜、聞いて』
「やだ、聞きたくねぇ」
「遺言じゃねぇかそんなん！！！聞きたくねぇよ！！」
『うん、私、しぬから』
『お願い、』
胸が締め付けられて、涙がこぼれる。
『春千夜と結婚出来て幸せだった。春千夜のこと大好き。愛してる。死んでも好き。まだ、春千夜はこっち来ちゃダメだからね』
『お薬やりすぎたらダメだから、私の事思い出そうとしてタバコも吸っちゃダメ。絵にはなるけど私見れないから、それ』
俺じゃなくて自分のこと、言えよ。
『私、春千夜大好きだから。忘れたら殺すからね』
「上等だよ。とんだ呪いだなそんなんお前らしいけど」
「A…？」
長いまつげを伏せて、彼女は笑っていた。
「痛かったよな。守れなくてごめんな」
小さな、花を抱きしめるように優しく冷たくなった彼女を抱きしめた。
1ヶ月残っていた
花は咲かなかったけれども、確かに花は散っていた。
終わり
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右梅(プロフ) - 赤坂さん» 人間みんな花だと思えばちょっとは愛着湧きますよね…。いや、湧きませんね (2021年9月10日 23時) (
レス) id: b5181500a7 (このIDを非表示/違反報告)
赤坂 - 花は散り際が美しい (2021年9月10日 23時) (レス) id: e1cf0e4f9d (このIDを非表示/違反報告)
右梅(プロフ) - すーみんさん» こちらこそ読んでいただきありがとうございました(^^)コメントありがとうございます (2021年9月10日 15時) (レス) id: b5181500a7 (このIDを非表示/違反報告)
すーみん(プロフ) - 泣きました（;;）とても感動しました！！本当に素敵な作品をありがとうございます！ (2021年9月10日 14時) (レス) id: 7ae5cb69bd (このIDを非表示/違反報告)
せみのぬけがら(プロフ) - みーさん» わ！ありがとうございます(^^) (2021年8月14日 22時) (レス) id: b5181500a7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：右梅 | 作成日時：2021年7月7日 23時
