”強”テルくん教信者【花沢輝気】 (ページ37)

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37.煽ってページ37

『オジサンさ、凄い簡単に情報吐いて今こうやって基地への案内までしてるわけじゃん？オジサン、恥ずかしくないの』

「グゥ…！！！！」

「お前凄いメンタルのへし折りかただな」

久しぶりに乗った車の中でテンションが上がりながらオジサンに話しかける。あの後縛り上げられ吊る下げられ水バケツの刑を受けるとあらぬ速さで情報を吐き出した。

こっちがドン引きする早さだった。
こいつが幹部でいいのか。

『見えた。あの建物？』

「そ、そうだ」

プカプカとモブくんの超能力で浮く車。そして私は助手席。どうせならテルくんと相席が良かったのにぃ！なんでオジサンなんだこのやろう！！

テルくんがモブくんに合図すると落下を始めた車。ガシャンと音がしてエアバッグが空いた。

ぶひぃっと言うオジサンの不細工な声に

「おっけー。ここからは徒歩で行こう」

と冷静に返した。
車から降りる。オジサンはへばっているようだった。そのまま置いて歩き出す。

すると後ろからまた車のドアが開く音と逃げ出すオジサンが見えた。

「あっ寺陀が逃げた」

「追うか？」

「あれだけコテンパンにされたらもう刃向かってこないだろう。時間の無駄だし僕らはさっさと弟くんを救出しよう」

『車の中の方が安全だと思うけどなあ』

あのオジサン頭弱いのかな…。

カアカアカアカア

カラスが異様に空へ飛び立つ。風が強くなってきた。おかしいな。

『カラスがうるさいな』

「何か見える？」

じっと目をこらすとその中の1匹のカラスの視界を借りれた。

『木が浮いて…』

「ッ！」

『わっ！！』

更に目を凝らそうとした瞬間私はテルくんに抱えられて空を飛んだ。木の幹の上に降りる。

私たちがいたところには何本もの木が落ちていた。ああ
視えた木は私たちの頭上に降ってきたやつか。

テルくんが私を抱えたまま木の落ちてきた方向へ叫ぶ。

「影山くん生きてるかい！？」

するとモヤが晴れて冷静なモブくんがみえた。

「うん。びっくりした。なんで空から木が」

そのままテルくんが私を抱えたままモブくんの隣で飛んだ。ゆっくりとテルくんがおろしてくれる。

『ごめん。足引っ張っちゃった』

「いやカラスの目を借りるように言ったのは僕だ」

カラスだったり動物の目を借りると私の目は同時に見ることが出来ない。盲目状態になる。