”強”テルくん教信者【花沢輝気】 (ページ29)

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29.分からせろ!! ページ29

『それでね、私言ったわけ。いやそれ石やないかーいって！！』

「ん？あれは…」

いつも通り私のクソどうでもいい話をスルーしたテルくんの目線の先を私も遅れて追った。

何人もの人達が倒れていてその中心に学ランの男の子が大笑いして立っている。いや、怖すぎる。

てかあれ…？なんか見た事ある…

「挨拶しに行こうか」

転がってる大人たちと学ランの男の子を見るにきっと超能力によるものだ。そうすると男の子は超能力者、そしてあの笑いよう。楽しくてたまらないんだろう。

テルくんもそう解釈したのかそっちに向かって歩き出した。私も遅れて着いていく。

「ねぇそこの君」

テルくんが声をかけると見覚えのある顔がこっちを向いた。

「はい」

「そのくらいにしておけ。依存すると痛い目見るよ」

明らかに相手の目線がテルくんの頭に言ったところで私は声を出した。

『あれ。やっぱり律だ』

そう言うと明らかに動揺した顔の律。てか、なんか律違和感ある。

「Aの知り合い？なら尚更だ。君は勘違いをしている。自分が強く特別な存在だとね。過去の自分を見ているようで痛々しい」

律は私のことを無視すると決めたようで視線をテルくんに戻した。

「これは忠告だ」

「超能力に頼って生きようとするな」

過去の自分のようになって欲しくない。テルくんはもう一度念を押した。律が驚いた顔をする。

「超能力者の方ですか何者か知りませんが他人に忠告を受ける義務は無い」

明らかに噛み付くように律が言う。テルくんは表情を変えない。

「どうせ覚醒ラボのヤツらと大差ないだろ。試しに力較べがしたい」

律がゆっくりと右腕をこっちに向けた。モブくんの弟なんだから超能力持っててもおかしくないけどこの前会った時は感じなかった。

しかも律操られているのかもう1人の影がチラつく。

次の瞬間私の横のテルくんが律の前まで移動して私の髪が風邪でなびいた。テルくんががっしりと律の右手を掴んだ。