【ヒプマイ】姉でした。【山田家】

20話 ページ25

貴方side

まさか、自分が

あんなに捻くれてるなんて

思ってもなかった。

でも、全て本心だった。

あの子達の為に

お金を稼ぐ事ができるなら

私は殺しだって性行為だって、

なんの躊躇いもなくできてしまう。

だってあの子達の

笑顔が見ていたいから。

あの子達が幸せなら、

私なんて金づるでもなんでもいい。

でも、

もう家族には戻れない。

戻ることが、怖い。

もし戻ったとして、

また同じ扱いを

されてしまうかもと

考えてみたら…

恐ろしくて夜も眠れない。

こっちは慣れるのに、

一年もかかってるんだ。

いや、一年あってもまだ慣れない。

あの子達からの冷たい視線、

冷たい態度、

冷たい声、

変わってしまったあの子達の

態度に、私はまだ

頭が追いつかない。

心も、追いつけないままだ。

でも、少し前まで私は、

確かにあの子達の、

姉でした。





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一郎side

あれからまた一年。

引っ越しは少し前に

完了した。

姉ちゃんへの態度も、

大分変わったと思う。

最近は、姉ちゃんが、

昔みたいに、

物凄く、輝いて見える。

なんの仕事をしているのか

まだ分からない。

でも、それでも

かっこよくて、美しい。

今、冷静になってみれば、

あの時、俺がもっと、

姉ちゃんの話を

きちんと聞いていれば、

こんな事にはならなかったんだ。

今は罪悪感で押し潰されそうだ。

でも、

落ち込んでる暇なんてない。

俺らの事、

許してくれなくたって良い。

今、姉じゃなくても良い。

でも、

今の俺らにとってあの人は、

誰にも負けない、最高の、

姉なんです。

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