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18話 ページ23

貴方side

どこまで走ったんだろう。

周りなんて見れない。

二郎の顔すら、見れなかった。

無意識に走っていた筈なのに、

辿り着いたのは

まだ母さんが生きていた時

昔一郎達と良く遊んでいた

公園まで来ていた。

ベンチに座って

思い出に浸っていようかな。

あぁ、ダメだ。

涙が止まらない。

どうしよ。どうしよ。

泣いていいのは私じゃない。

あの子達なのに。

止まらない涙を

何度も何度もこすって

止めようと

必死になっていた矢先

目の前に

見覚えのある

ハンカチが出てきた。

驚いて、

ハンカチの差出人の

顔を見ると、

……二郎だった……。

貴『…あっ…う…じ、ろう…
  ご…めん……。ごめんなさい。
  泣く権利なんて…私には……。』

二『何言ってんだよ。
  泣いていい権利って…
  なんだよ。
  とりあえず涙拭けよ。』

なんて優しい子なんだろう。

きっと一郎が、

優しく

接してあげてるんだろうな。

ハンカチを受け取るだけ

受け取って、

少しボーッとしていると、

二『涙拭けよ…!
  ボーッとしてんじゃねぇ!
  目の周り
  赤くなっちまうぞ。』

そう言って私の手から

ハンカチを取って、

乱暴に、でも優しく、

私の止まらない涙を

拭ってくれた。

貴『っ……ごめん…っ…』

二『謝らなくていい。
  たださ…本当の事、
  教えて欲しいんだよ。
  三郎にあの日言った事、
  あれ、多分嘘だろ??』

…えっ……

どうして……分かるの……

二『なんで分かるの〜って
  顔してる。
  当たり前だろ。
  家族なんだからさ。』

゛家族゛

久しぶりに聞いた

温もりに溢れた言葉。

貴『…っ…か…ぞく……?』

二『…うん…。』

でも、この時私は

この言葉を、

素直に受け取る事は

できなくて。

捻くれた私の脳みそは、

どんどん悪い方向へ

考えていく。

最悪な気分だった。

いつのまにか私は、

家族の優しさを、

素直に受け取れない人間に

なってしまっていた。

この時また私はしくじった。

貴『…っ…なに、それ。
  ……今まで…今まで私なんて、
  いなかったじゃない!!!
  それなのに…今更…っ…!
  貴方達の事、私はもう…っ!
  信じる事なんてできないっ!!』

死んでしまえ。私。

二『…っ…姉さ…っ…!』

貴『私は…っ…!
  貴方達の金づるで!
  十分だよ!!』

史上初の仲直りすら

できないまま、

私は今まで、

ずっと、

生きてきた。

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作品ジャンル:泣ける話
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マカロニサラダ(プロフ) - おっふさん» 申し訳ありません!手違いで直接ご返信できませんでしたが!読んで頂けると嬉しく思います! (2019年8月7日 23時) (レス) id: 1d4119f2c9 (このIDを非表示/違反報告)
マカロニサラダ(プロフ) - バレてしまったなら仕方がない…!実はおっふさんが好きそうなストーリーをこっそり研究してたんですよ!っていうのはもちろん嘘ですよ…!ご愛読下さりありがとうございます!! (2019年8月7日 23時) (レス) id: 1d4119f2c9 (このIDを非表示/違反報告)
おっふ - わぁっ、、すげぇ、ストーリーが私好み、、、、え?なんで知ってるんですか、わたしの好きなストーリーとか← (2019年8月7日 23時) (レス) id: dfac6954d1 (このIDを非表示/違反報告)
マカロニサラダ(プロフ) - キユぎつねさん» コメント誠にありがとうございます!!最近また更新頻度が落ちてきてるので、頑張ろうと思います……。 (2019年8月4日 2時) (レス) id: 1d4119f2c9 (このIDを非表示/違反報告)
キユぎつね - この作品を初めて読んだ時はさ、こういうのもいいなーって思っていたけどさぁ、過去の話になってから「う”あ”あ”ぁ”ぁ”!!姉さぁ”ぁ”ん”!!」と発狂するようになったでござるる(^^) (2019年8月3日 18時) (レス) id: 00266d32c6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:マカロニサラダ x他1人 | 作成日時:2019年3月3日 22時

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