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「立てますか？」とエーミールさんが手を差し出す。それに右手を重ねようとして、そのままエーミールさんを突き飛ばした。土煙から吐き出された金属はエーミールさんの丁度頭があった場所を通過して行き、エーミールさんは息を飲んで目を見開いた。
「チッ。気付かれたか」
男の額には砂が混じって茶色くなった血がベッタリと付いていた。血液をポマード代わりにして崩れた髪を固めた男は苛立ちの色を隠そうともせず弾切れの銃を投げ捨てて佩した刀を抜いた。
「…………エーミールさんはそこで。私は報酬に見合った働きをします」
興奮作用のあるホルモンはもうとっくに切れていた。撃たれた足が、左腕が、燃えるように熱い。けれど引く訳にはいかない。生まれて初めて、命より大切だと思える存在ができたのだから。私の人生で唯一、何の変哲もない日常に幸せを教えてくれたエーミールさんの為だから。
「蝶々風情がよぉ！ちょーっと調子に乗りすぎたなぁっ」
銃とは撃って変わって細く長いその刀は男本来のリーチも相まって広い間合いを生み出した。勝ち目は薄かった。しかし、それで構わない。私はあの男を倒せなくていい。ほんの少し、武器を封じ動きを止められればそれでいい。きっとエーミールさんがなんとかする。
「お前らなんて！ゾムが居なければ怖かねぇんだよ！！」
「……貴方、オオムラサキという蝶をご存知で？」
「ああ？知らねぇよ」
踏ん張った足から血が吹き出した。酸素を送り届けられなかった哀れな赤血球達が地面のシミと化す。エーミールさんが杖で私の膝裏を突き私はそれに抗える訳もなくその場に頽れる。座り込んだ私の前でエーミールさんは杖の柄を引き抜いた。
「なら覚えておいてください。スズメバチさえも追い払う日本の国蝶です」
剣を振りきった男の腹にはエーミールさんの刀が刺さっていた。男はそれっきり沈黙し倒れる。エーミールさんが刀に付いた血糊を払い鞘に収めた音で戦闘は呆気なく終わりを迎えた。
・→←〇Great purple emperor (科em)
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ベルギーチョコ(プロフ) - 青条さん» レスありがとうございます!!!まさかレスが来るとは思ってなかったのでまだまだ消滅しないで頑張ります…!! (2021年12月24日 10時) (
レス) id: 6938e81241 (このIDを非表示/違反報告)
青条(プロフ) - ベルギーチョコさん» ありがとうございます！自己満足で始めたものですが感想貰えるとやはりモチベーションがグッとあがりますね！今後も更新していく予定なのでまだ消滅しないでください〜笑 (2021年12月24日 9時) (レス) id: 3b14859680 (このIDを非表示/違反報告)
ベルギーチョコ(プロフ) - emさん推しには堪らぬ…！こんな素敵な作品を作って下さり本当にありがとうございます(消滅) (2021年12月24日 6時) (レス) @page29 id: a8b18d6813 (このIDを非表示/違反報告)
青条(プロフ) - 暇人な名無し__低浮上ガチ勢さん» 今の今までコメントに気が付かず……約１ヶ月遅れの返信になってしまいました、すみません！！感想凄く励みになります！このお話"も"って言って貰えてとっても嬉しいです！これからも頑張っていきますので気長に応援してくださると嬉しいです(*^^*) (2021年8月9日 21時) (レス) id: 3b14859680 (このIDを非表示/違反報告)
暇人な名無し__低浮上ガチ勢(プロフ) - ｳﾜｱｱｱｱｱｱｱｱｱｱｱ七夕のお話めっちゃ好きです...すごい、甘酸っぱい感じで、ほんと、好きです...(語彙力)いや、このお話"も"なんですけどね！？全部のお話がほんとに好きなんです...頑張ってください！応援してます！ (2021年7月8日 15時) (レス) id: d7b6c8461a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：青条 | 作成日時：2020年6月26日 14時
